入手困難「PCOCC」ケーブル

「入手困難」と言われると欲しくなる

製造中止から3年「PCOCC」ケーブル

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引用:Philie-web

インターネットの普及により、いま、私たちは以前にも増して広告に接触するようになりました。

「期間限定」「数量限定」に代表される「限定」広告は、最低でも一日一回は目にするのではないでしょうか。それでも私たちは、わかっていても「限定」という言葉に弱く、ついつい心が揺らぎがちです。

 

しかし、この「限定」という言葉に弱いのは、世界中を探しても日本くらい、というのはご存知ですか。

 

その理由については様々な要因考えられますが、やはり一番大きな要因は「日本に四季がある」ことでしょう。

桜は春限りです。スイカは夏限りです。紅葉は秋限りです。白子は冬限りです。日本人は季節感を大切にします。だからこそ「一期一会」という言葉があり、どの国の言葉にも訳せない「旬」という感覚を小さな頃から身につけます。

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旬、それは「限定」です。そして限定とは、すなわち「入手困難」ということです。

 

そうなのです。

季節を愛でる日本民族は、季節のうつろいに奥ゆかしさを感じるがゆえ、限りにあるものに惹かれるのです。「入手困難」と言われると、日本人はその「困難」に立ち向かいたくなるのです。

 

オーディオファンを魅了した「PCOCC」。そのケーブルが製造中止となって早三年。当然のように入手困難です。

 

だからこそ欲しくなったりしませんか。

 

というわけで、今回はケーブルについて考えながら「PCOCC」について一緒に調べてみたいと思います。

 

目次

  1. ケーブルの音質差決定要素
  2. 導体素材の変遷
    2-1.TPC(Tough Pitch Copper):タフピッチ
    2-2.OFC(Oxygen Free Copper):無酸素銅
    2-3.LC-OFC(Linear Crystal Oxygen-Free Copper): 線型結晶無酸素銅
  3. PCOCCとは
  4. まとめ

 

1.ケーブルの音質差決定要素

 

ケーブルにより音が変わる。

そう言われ始めて四半世紀以上が経ち、今やケーブルは「オーディオアクセサリ」というより、スピーカーやアンプと同等に「ケーブル」としてカテゴライズされつつあります。皆さんもケーブルを交換して聴き比べしたり、様々な試行錯誤をしていることでしょう。

 

しかし、PCOCCケーブルの設計担当者、根岸さんは「ラジオ技術」の中でこう述べています。

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オーディオ用ケーブルの音質差について議論されるとき、導体材質がその代表として取沙汰されることが多い。たとえば”PCOCCの音はこんな音”といったぐあいである。しかしケーブルの音質を決定するのは次の3つの要素だが、このことを理解したうえでこのような表現がされているとは思えない。

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皆さんはどのようにケーブルを比較していますか。根岸さんによる音質決定三要素は

  1. 導体の材質
  2. 絶縁体の材質
  3. ケーブルの構造

です。

この3要素が複雑に関係し合い音質は決定されるため、簡単には「PCOCCの音」を識別することはできない、そう根岸さんは言っています。

 

当然ですよね。

「PCOCC」は音質差を生む要因の一つ「導体の材質」でしかありません。本当に「PCOCC」の音質を知りたければ、上記②③の要素を全く同じにしなければ真の比較になりません。

 

そこで皆さんに、是非実施していただきたいことがあります。

もしケーブルを換えて音が変わったのなら、この3要素「導体の材質」「絶縁体の材質」「ケーブルの構造」のどこが支配的であったかを考察してください。根岸さんの経験では、導体材質による改善は主に分解能に出現し、音色に関しては絶縁材およびケーブル構造が支配的だそうです。

いずれにせよ、このようなアプローチが自分好みのケーブル選択をきっと容易にします。まずは3要素を抑えてみてください。

 

 

2.導体素材の変遷

 

1970年代中頃までは、ケーブルによる音質差は全く注目されていませんでした。当時の導体素材の主流はTPC(タフピッチ銅)。それを70年代中頃から、OFC(無酸素銅)に変えることで音質差が生まれることがわかってきて、1980年頃には銅線に含まれる酸素など不純物の結晶粒界混入を防ぐため、銅線を再加熱し結晶粒を大きくしたLC-OFC(線型結晶無酸素銅)が開発されます。

そして1985年、さらなる音質向上を実現すべく、千葉工業大学の大野教授考案のOCC法による銅線「PCOCC」が商品化され、オーディオ業界ではその製造が中止される2013年まで広く採用されていました。

 

「PCOCC」が開発される前に主流だった、「TPC」「OFC」「LC-OFC」。

まずはそれぞれの素材について詳しく見てみましょう。

 

 

2-1.TPC(Tough Pitch Copper):タフピッチ

 

電解精錬によって得られる電気銅を融解し、電線にふさわしい形状に冷却、線引きを繰り返した電線用導体。それがTPC(タフピッチ)です。命名された当時は他の製法の銅と比較して強度も導電度も最高だったので「Tough Pitch(強度の高い)Copper(銅)」となりました。一般的に電線用として使用される電気用軟銅線は、ほとんどがこのTPCです。

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純度は99.9%以上と、無酸素銅ほどの純度はありませんが、高い導電率と熱伝導率を誇ります。ただ、TPCは大気中で融解、冷却が行われるため、酸素を0.02%〜0.05%程度含みます。また、600℃以上への加熱が水素と材料内部に残っている酸素とを反応させ、水蒸気を生成。水素脆性(鋼材中に水素が吸収されることにより、鋼材が脆くなる現象)があります。

 

JIS規格(日本工業規格)ではC1100に規定されています。

 

 

2-2.OFC(Oxygen Free Copper):無酸素銅

 

酸素を遮断して製造された銅なので、酸素含有量は0.001%から0.005%とごく微量。したがって「 Oxygen-Free(無酸素) Copper(銅)」と呼ばれています。

 

ガス放出が少なく、酸化物をほとんど含まない99.95%以上の高純度銅のため、真空管や水素溶接する機器、あるいは海底ケーブルのように高い信頼性が求められるシーンで主に利用されてきました。もちろん、AVケーブルとしても広く使用されています。

 

TCPより抵抗や歪みが少ないため、工業的に優れている「OFC」。実際OFCとTPCを比較すると、導電率は0.5~2%程度高く、音質はより高解像度で切れが良くなる傾向にあります。

 

JIS規格では無酸素銅(JIS H 3100, C1020)および電子管用無酸素銅(JIS H 3510, C1011)が規定されています。

 

 

2-3.LC-OFC(Linear Crystal Oxygen-Free Copper): 線型結晶無酸素銅

 

1980年代頃、日立電線株式会社がOFCの結晶を線方向に大きくなるよう開発・製造した音響用のOFCです。銅結晶を大きく成長させることにより、結晶境界に起きる信号伝達ロスを少なくしたケーブル形成が可能です。また、音質は立ち上がりが鋭く、ダイナミックになる傾向にあります。

 

銅純度は99.996%以上で酸素含有量は10ppm以下。また、TPCは信号伝送の抵抗となる結晶粒界が150,000/1mほど存在しますが、1mあたりの結晶数は20個程度です。

 

JIS規格では、H 2123『型銅』規定C1011-C1相当を満たすものとされています。

 

 

3.PCOCCとは

 

PCOCCとは「Pure Crystal Ohno Continuous Casting Process」のイニシャルに由来します。 ちなみに「Ohno」とは、この素材の開発者である千葉工業大学の大野篤美教授の苗字です。彼が考案した加熱鋳型式連続鋳造(OCC法)で製造された画期的なこの導体こそ、「信号伝送方向の結晶粒界を理論的にゼロにした理想的構造」とオーディオファンに大絶賛の「PCOCC」です。 通常、「 単結晶状高純度無酸素銅」と呼ばれています。

 

一般的な銅素材は多数の結晶から構成されており、 結晶と結晶の隙間(結晶粒界)に不純物が混入するのは防ぎようがありませんでした。しかし、鋳型を加熱して鋳造するなど特殊な製法により、単結晶状の銅線を実現。また、母材として高純度無酸素銅を使用しているため、不純物は極少。実用上用いられる長さでの結晶粒数は1個、つまり信号伝送方向を横切る結晶粒界がゼロのため、極めて歪率が低く、信号伝送のロスを軽減します。

 

単結晶であるメリットは他にもあります。

どのような高純度素材であっても、実際的にはケーブルとしての実用性を確保するため、アニール処理は欠かせません(アニール処理:材料が溶ける寸前まで温度を上げ、時間をかけて徐々に冷却すること。焼き鈍し)。

 

しかしその際、多結晶の構成では結晶粒界が存在するため、不純物の混入は避けられません。そのため純度は著しく低下します。しかし、PCOCCは結晶粒界を持たないため、アニール処理の段階でも不純物が非常に混入しづらく、最終的にケーブルとして完成した状態でも高純度を維持しており、結晶構造も均一な方向に揃う特徴を持ちます。

 

ちなみに、PCOCCには2種類あります。「PCOCC-H」と「PCOCC-A」で、前者がアニール処理を施していないもの、後者がアニール処理を施したものです。

PCOCCは単結晶のため非常に硬く、したがってアニール処理を施された「PCOCC-A」へと変わることにより、非常に柔軟な素材へと変化し、導通性・伸び率ともに向上します。また音質は非常に癖が無く、ワイドレンジに感じられる傾向にあります。

 

しかしこのPCOCC、オーディオファンには大人気でしたが、製造元である古河電工は2013年、製造中止を発表します。

 

確かに、オーディオ業界ではオヤイデ電気を筆頭に、サエク、アコースティックリバイブ、クリプトン、ナノテックなどがPCOCC-Aを採用。アニール処理前のPCOCC-Hに至っては、オーディオテクニカ等さらに多くのオーディオアクセサリーメーカーが導体に使用しています。が、古河電工のような大手電線メーカーにとっては、PCOCC-H/Aの生産量は銅線の全生産量の1%にも達しないニッチな部門です。いくらオーディオ業界で需要があると言っても、PCOCC-H/Aを消費する量は年間数十トンほど。不採算分野でした。

 

そのため、音質面でも最高の評価・支持を得ていたPCOCCは、1986年から2013年にわたる約20年間のロングセラーを記録したものの発売中止に至り、幻のケーブルとなったのです。

 

 

4.まとめ

 

古河電工が製造を中止した今や、古河電工の商標登録であるPCOCCは非常に入手困難なケーブルです。そこで、もしお持ちのようでしたら、大事に使って欲しいと思います。そして、もし余っているようなら、必要とする人に譲ってあげてください。一方、もしまだPCOCCを未体験の方は、どうにか手に入れて是非その音を聞いてみてください。あなたのオーディオライフがより豊かになること必至です。

 

ただ、技術は日々進化しており、当時はPCOCCを超えるケーブルの開発は不可能と言われていましたが、最近では「PCOCCを超えるかも?」というケーブルも開発されつつあります。「PC-Triple」や「102 SSC」です。

 

いずれにせよ、「神は細部に宿る」と言います。きっと、オーディオの神はケーブルに宿ります。

 

この記事がきっかけで、オーディオの神が皆さんの元に降臨することを祈っています

マウンドには豪腕の投手がいます。ベンチには切れ者の監督がいます。しかし、両者を繋ぐ伝令役がきちんと役割を果たせないなら、きっと投手も監督もその能力は充分に発揮できないことでしょう。

オーディオでも同じことが言えます。
いくら素晴しいスピーカーやアンプを持っていても、それらを繋ぐ伝令役のケーブルが充分に役目を果たさなければ、結局は宝の持ち腐れです。

オーディオ機器を繋いでいるのはケーブルです。ケーブルがあって、初めて独立した複数のオーディオ機器は、一つのオーディオ・システムになります。

そこで今回は、オーディオファンの必須知識「オーディオケーブルの基本」について、少し専門的にみてみましょう。

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【目次】

  1. オーディオケーブルの役割
  2. オーディオケーブルの接続方式
  3. オーディオケーブルの種類
  4. まとめ

1.オーディオ・ケーブルの役割

1-1.オーディオとは

オーディオケーブルの基本

audio【オーディオ】
辞書で調べてみるとこうあります。「録音・処理・伝送された可聴周波数の音」
つまり、オーディオは電気信号に変換された音を意味します。

では、音と電気との間にはどんな関係があるのでしょうか。

ご存知の通り、音は空気の振動です。空気を振動させる波(音波)が私たちの鼓膜を振動させ、人は「音」を感知します。つまり、音は波です。
一方、電気(交流電源)は、時間とともに周期的に大きさと向きが変化します。グラフ化すれば、正弦波(サイン波)で表せます。つまり、電気も波です。

音も波。電気も波。

オーディオは、こうした音と電気の共通する性質を利用して、録音・処理・伝送されたサウンドを楽しむ技術です。

1-2.音と電気を相互に変換するメリット

音と電気との間には、共通する性質があることはわかりました。しかし、例えばエレキギターは、空気の振動を電気信号に変換し、再び電気信号を空気の振動に戻すことで音を出しています。
なぜ、わざわざそんな変換をしているのでしょう。
そもそも、オーディオはなぜ空気の振動を電気信号に変換して、また戻したりしているのでしょう。
その理由は、大きく分けて3つあります。

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1-2-1.音の波形を変えられる

音は、空気の振動のまま波形を変えることはできません。
しかし、電気信号だと話は違います。例えば、アコースティックギター。この場合、ただ音量を増加するだけでも大変です。というのも、「強く弾く」「共鳴機構(ボディの空洞)を工夫する」などの手法しかないからです。
が、電気信号に変えてしまえば簡単です。音量を2倍にしたいなら、増幅回路(アンプ)で電圧を2倍にすればいいだけです。逆に小さくしたいなら、抵抗器などで減衰(アッテネート)させればいいだけです。

音を電気信号に変換すれば、音を編集し、自在に操ることができるようになります。その代表的な機器がアンプやエフェクタですが、いずれにせよ、音は電気信号に変換することで、いとも容易く波形を変えられるようになるのは大きなメリットです。

1-2-2.音を記録できる

音は、空気の振動をそのまま記録することはほぼ不可能です。人がどれだけ大声を発しても、それは一瞬のうちに空気中に拡散され、消滅してしまいます。
が、電気信号に変換してしまえば、録音は非常に容易です。いま、私たちの周りにあるCDや音楽ファイルの数の多さから、記録の容易さ、重要性は想像できると思います。

1-2-3.音を伝送できる

音は、空気の振動のみで伝達するには、その範囲に限界があります。人がいくら大声を発したところで、あるいは、いくら高性能な糸電話を作ったところで、その伝達距離は知れています。
が、電気信号に変換してしまえば、地球の裏側にまで届けることは可能です。
音は電気信号に変換することで、情報を遠くまで伝えることができるようになります。

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1-3.ケーブルの役割

空気の振動を電気信号に変換することで、様々なメリットがあることはわかりました。
また、電気信号をどのように扱うかこそが、オーディオにとっての核だとも理解できたと思います。

では、オーディオの要である「電気信号」を流しているものは何でしょうか。

それが「オーディオケーブル」です。オーディオケーブルでは音が流れているのではなく、電流が流れています。
したがって、オーディオケーブルは非常に重要な役割を担っています。いくらアンプが信号の波形を崩さず増幅しても、スピーカーに届く途中のケーブルでその信号が崩れてしまっては、まるで意味がないからです。

そうしたこともあるからでしょう。最近ではオーディオケーブルも重要視され、非常に高性能で高価なものも販売されています。

2.オーディオケーブルの接続

ケーブルの接続には「バランス接続」と「アンバランス接続」があります。
一言で言えば、バランス接続は三本の線で接続し、アンバランス接続は二本の線で接続します。
それぞれにメリット・デメリットがあります。

2-1.バランス接続

交流電流では、電流はプラスとマイナスで行ったり来たりしており、電流が出て行く側を「HOT(ホット)」、帰ってくる側を「COLD(コールド)」と呼びます。
また、オーディオ信号は非常に小さな信号なので、ノイズの影響を多分に受けます。そのため、ケーブル内にある二本の芯線(ホットとコールド)を金網状のもの(シールド)で覆う処理が行われますが、これを「GND(グランド)」と呼びます。つまり、三種類(ホット・コールド・グランド)の信号のやり取りを行います。これがバランス方式です。
それぞれが独立しているので、非常に安定した状態で伝送できます。そのため、ノイズが少なくなるというメリットがあります。

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バランス接続で代表的なケーブルは、「XLRケーブル」です。キャノン社(カメラのCanon社とは別)が作ったので、一般的には「キャノン・ケーブル」と呼ばれています。
「1、2、3」と3つのピンが認められますが、現在の国際基準では「1番=グランド」「2番=ホット」「3番=コールド」となっています。ただし、稀に「3番=ホット」がありますので注意が必要です。

2-2.アンバランス接続

アンバランス接続は二本の線で接続します。具体的には、グラウンド(シールド)をコールドとしても使用します。つまり「ホットとグランドの2種類」で信号をやりとりする方法です。バランス接続と比較するとノイズには弱くなりますが、コスト面では安価で済むというメリットがあります。

3.オーディオケーブルの種類

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3-1.マイクケーブル

その名の通りマイクをつなぐためのケーブルです。マイクから入力された音の信号をミキサーやアンプなどの機器に伝えるケーブルです。
マイクケーブルには主にバランスケーブルが用いられます。そのため、ノイズを打ち消すことができ、長い距離を引きまわすことが可能になります。

音響業界では「マイクケーブル」と言ったら両端にキャノンコネクタが付いており、長さが5m以上のものを指すことが多いようです。

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3-2.立ち上げケーブル

構造的にはマイクケーブルと同じです。
ただ、PA業界ではマイクケーブルの短いものと認識されていて、マルチケーブルのボックスからミキサーに入力するためのケーブルのことを指します。
「パッチ」「パッチング」「パッチケーブル」などと呼ばれることもあります。

3-3.スピーカーケーブル

スピーカーとパワーアンプをつなぐケーブルです。
大電流に耐えられるよう、マイクケーブルなどに比べて太めの芯線を使い、プラスとマイナスとを別々にした構造となっています。信号レベルが高いためノイズが少なく、シールドされていない(アンバランス伝送)ことが多いのも特徴です。ケーブル本体は2芯または4芯の撚線が使われています。

3-4.ラインケーブル

電子楽器、音響機器、ミキサーなど、機材と機材をつなぐケーブルです。主に再生機器や録音機器と他の機材をつなぐ場合に使用します。

3-5.変換ケーブル

ケーブルの両端に異なる種類のコネクタが付いているケーブルを「変換ケーブル」と呼びます。形状の異なるコネクター同士を繋ぐための仲介に使用します。
アンプの出力端子がキャノンでスピーカーの入力端子がホーンプラグの場合、このケーブルで変換して使います。

3-6.マルチケーブル・マルチボックス

マルチケーブルとは独立した複数の回路を接続するケーブルを一つのシース内に納めて一本化した物、また両端にコネクタを接続したアセンブリです。スネークケーブルとも言われるます。主に音響・映像機器の接続に用いられます。
「マルチ」とは「複数」という意味なので、二本以上のケーブルがまとまっているものは全て「マルチケーブル」といっても間違いではないのでしょうが、通常は8チャンネル以上のマイクマルチケーブルを指します。
PAの業界では、カナレ社が世界で圧倒的シェアを占めています。

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4.まとめ

ケーブルには数多くの種類があります。その理由は明確です。同じ「ケーブル」でも、その役割が違うからです。
例えば、スピーカーケーブルとラインケーブル。
確かに、ラインケーブルはスピーカーケーブルとして代替できます。しかし、容量の小さい(芯線が細い)ケーブルなので、発熱の恐れやアンプの故障の原因となりえます。
反対に、スピーカーケーブルをラインケーブルとして使用すると、スピーカーケーブルはラインケーブルのようなシールドがないので(アンバランス伝送)ノイズが悪化し、音質が悪くなるのは想像に容易いと思います。

スピーカーやアンプと違い、ケーブルはオーディオの花形ではありません。
しかし、それぞれの仕様のケーブルを使うことで、より良い音が実現できることは間違いありません。

たかがケーブル。されどケーブル。
この記事がケーブル選択の入口として、オーディオ愛好者のお役に立てれば光栄です。

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