「スピーカーの種類ごとにおける名機」オーディオ解説書その9

「スピーカーの種類ごとにおける名機」オーディオ解説書その9

エンクロージャーは「低音をどのように響かせるか」という点で非常に大きな役割を果たしています。そして、スピーカーシステムは、そのエンクロージャーという視点から「平面バッフル・後面開放型(ダイポール型)」「密閉型(シールド型、アコースティック・エアー・サスペンション型)」「バスレフ型(バスレフレックス型、位相反転型、ベンテッド型)」「パッシブラジエーター型(ドロンコーン型)」「ASW型(ケルトン型)」「共鳴管方式」「バックロードホーン型」「フロントロードホーン型」の8つに大きく分類できます。

そこで今回は、それぞれ8つのスタイルごとにお勧めの機種やこぼれ話などをまとめてみました。

目次

  1. 密閉型とバスレフ型の違い
    1-1.バスレフ型誕生の背景
    1-2.密閉型とバスレフ型との相違点
    1-3.総括
  2. 平面バッフル・後面開放型(ダイポール型)
    2-1.概要
    2-2.平面バッフルと言えば、江川三郎
    2-3.ダイポール型と言えば、B&W
    2-4.MONITOR AUDIO(モニターオーディオ)のダイポール型
    2-5.KEFのダイポール型
  3. 密閉型(シールド型、アコースティック・エアー・サスペンション型)
    3-1.概要
    3-2.密閉型と言えば、日本製なら「クリプトン」
    3-3.密閉型の希代の名作「Electro-Voice Patrician 800」

1.密閉型とバスレフ型の違い

スピーカーシステムは先述の通り、大きく8つに分類できます。

  • 平面バッフル・後面開放型(ダイポール型)
  • 密閉型(シールド型、アコースティック・エアー・サスペンション型)
  • バスレフ型(バスレフレックス型、位相反転型、ベンテッド型)
  • パッシブラジエーター型(ドロンコーン型)
  • ASW型(ケルトン型)
  • 共鳴管方式
  • バックロードホーン型
  • フロントロードホーン型

です。

ただし、現在の市販品においては、主流は「密閉型」と「バスレフ型」です。ほぼこの二つしかお目にかかれません。というわけで、まずは改めて「密閉型」と「バスレフ型」の違いをおさらいしたいと思います。

1-1.バスレフ型誕生の背景

平面バッフルから進化した密閉型では、閉じ込められた空気がバネの役割を果たし、スピーカーの動きを制御します。そのため、タイトでダンピングのいい、締まった低音が得やすくなる傾向があります。また、密閉型は低音増強効果は小さいものの、低音がだらだら下降しながら伸びるため、一般的に「自然な低音」と表現されます。

しかし、密閉型で充分な低音を得ようとすると、非常に大きな容積が必要になります。そこで開発されたのが、ポートを設けた「バスレフ型」と呼ばれるタイプです。例えば50HZの同じ低音を出すにも、バスレフ型なら密閉型の60%のサイズでまかなうことができ、同容積なら0.6倍まで低音を伸ばすことができます。

1-2.密閉型とバスレフ型との違い

1-2-1.方式

密閉型は密閉された空気がバネの作用をしてスピーカーをコントロールします。
一方、バスレフ型はバスレフポートにより、低音を増強して再生します。

1-2-2.音の特徴

密閉型はタイトでキレのいい低音が特徴です。締まりが良く、キレのいい低音を好む人にはお勧めです。
一方、バスレフ型は豊かで伸びのある低音が特徴です。締まりよりリッチさを好む人にはお勧めです。ちなみに、低域レンジは密閉型より伸びる傾向にあります。

1-2-3.その他

密閉型の中でも完全に密閉したものを「エアサスペンション型」と呼びますが、いずれにせよ、密閉型で低音を出すにはある程度の容積が必要です。
一方、バスレフ型は、ポートの位置によって「フロントダクト方式」「リアダクト方式」と分類することもあります。

1-3.総括

市販品においては、主流は「密閉型」と「バスレフ型」の二つです。しかし、スピーカーには他に種類がたくさんあります。自作スピーカーも多く存在します。そこで次の章からは、スピーカーの種類ごとにおける名機・名作やこぼれ話などを紹介します。

2.平面バッフル・後面開放型(ダイポール型)

2-1.概要

平面バッフル型はバッフル板にユニットを取り付けることにより、後面に放出された低音が前面に回折するのを遮断する方式です。しかし、より低い帯域の後面の低音はバッフル板を回り込んで前面の音と打ち消し合うため、低音再生能力は他の方式と比較すると劣ってしまいます。

低音再生能力はバッフルの面積次第で決定されます。ただ、あまりに面積を大きくすると扱いが難しくなるため、一枚の板ではなく四隅を折り曲げたもの(背面がない箱)もあり、これは「後面開放型」あるいは「ダイポール型」とも呼ばれています。

ユニットの動作を抑えることなく、伸び伸びと鳴り、微小な信号の再生能力に優れているという特徴がありますが、そうした同じ特徴を持つバックロードホーン型との比較では、単純な構造と吸音材の使用に制約がないため、音質に独特のクセがないのも長所と言われています。

構造が複雑でないことから容易に自作に取り組めるとあって、そうしたスピーカーユニットも数多く市販されており、入手しやすい状況にあります。ちなみに、平面バッフルと言えば、オーディオ評論家の江川三郎氏が特に有名です。

2-2.平面バッフルと言えば、江川三郎

江川三郎(1932-2015)は、日本のオーディオ評論家です。「JBLバラゴンの左右連結は、音質向上のための必然」「生け花用の剣山を、カーペットに突き刺せ」などの名言も有名ですが、1975年に「ケーブルによって音質は変わる」と訴えたことはオーディオ界では伝説となっています。

自作スピーカーを数多く残していますが、ボーカル帯域の再生を特に重視。そのため、低音再生を切り捨てたスピーカーづくりが特徴で、平面バッフルと後面開放型(ダイポール型)をこよなく愛していました。

自作スピーカーの分野で同じく人気だった長岡鉄男(オーディオ評論家;1926-2000)とは真逆の考え方で、江川三郎は自分の方向性を「ナチュラルサウンド」、長岡鉄男の方向性を「アーティフィシャルサウンド」と表現。一方、長岡は江川の方向性を「京懐石料理」、自分の方向性を「漁師料理、あるいは猪の丸焼き」と表現し、互いに自分の方向性が原音(自然な音)に近く、相手の方向性を人工的だと批判していました。が、方向性では真逆でしたが、二人は親友だったと伝えられています。

2-3.ダイポール型と言えば、B&W(Bowers & Wilkins)

日本製オーディオでは住宅環境の観点からほとんど製造されていないダイポール型スピーカーですが、海外ではいくつか発表されています。その中でも、B&Wのダイポール型は有名です。

B&W DS3は、モノポール・モードとダイポール・モードが選べるスピーカーです。従来のモノポール・モードで作動させれば、音の拡散を抑制して側面または背面からのサウンドの位置を正確に再現させることができ、ダイポール・モードで作動させれば大きな空間の観客席全体を包み込む効果を発揮します。

どちらのモードを選択しても、130mmケブラーコーン・バス/ミッドレンジ・ユニット、ツイン・ミッドレンジ/高周波ユニット、およびノーチラスチューブ搭載トゥイーターが高品質のサウンドが味わえます。

【B&W DS3 の主な仕様】

引用:http://www.bowers-wilkins.jp/Speakers/Home_Audio/600_Series/DS3.html

■方式:2ウェイ ダイポール/モノポール選択式密閉型サラウンド・システム
■使用ユニット:
・1 x φ25mmアルミニウム・ドーム・トゥ イーター
・2 x φ80mmミッドレンジ/トゥ イーター
・1 x φ130mmウォーブン・ケブラーコーン・バス/ミッドレンジ
■公称インピーダンス: 8Ω(最低3.3ohm)
■クロスオーバー周波数: 4kHz (モノポール時)、250Hz(ダイポール時)
■外形寸法:W387 × H249 × D186 mm
■重量:5.2kg

一方、「DS8S」は、B&Wのスピーカーの中でも特に人気の高い「805S」と同等の18cmのミッドウーファーを1基、10cmのケブラーミッドハイを2基、2.5cmアルミドームを3基搭載したダイポール型の壁掛け対応スピーカーで、サラウンドやリアチャネルでの使用を想定したモデルです。

モノポール式とダイポール式に切換えが可能で、モノポールモードでは正面のユニットが作動、ダイポールモードでは側面の2組のユニットが作動します。多方向に音を発生させることで、壁や天井などの部屋からの反射音が増え、包み込まれるような音場を作り出すことができます。

【B&W DS8S の主な仕様】

■方式:2ウェイ ダイポール/モノポール選択式密閉型サラウンド・システム
■使用ユニット:
・1×φ165mmバランスドライブ方式ウォーブン・ケブラーコーン・ミッド/ウーファー
・2×φ100mmミッド/ハイドライバー
・3×φ25mmチューブローディング・アルミニウムドーム・トゥイーター
■公称インピーダンス: 8Ω(最低4.4Ω)
■クロスオーバー周波数: 4kHz(モノポール時)、250Hz,4kHz(ダイポール時)
■外形寸法:W622 × H360 × D205 mm
■重量:15kg

2-4.MONITOR AUDIO(モニターオーディオ)のダイポール型

モニターオーディオは、イギリスのスピーカーメーカです。創業は1972年。ロンドンから約一時間の東海岸Raylightに拠点を置き、約半世紀の歴史を持ちます。フラグシップの「Platinumu」を筆頭に、上から「Gold」「Silver」「Bronze」とスピーカーをラインナップしています。

その中でも、ゴールド・ラインのダイポール型が、ゴールドリファレンス「GRFX」です。ツイーターが左右に2つ採用されていて、それぞれのユニットも流れてくる信号に合わせて特別なチューニングが施されています。

価格は、チェリーが280,000円(ペア)。ブラック、ローズマホガニー、ナチュラルオーク、ホワイト は受注品で320,000円(ペア)。

【MONITOR AUDIO Gold Reference GRFX の主な仕様】

■方式:2ウェイ3ユニット・密閉型(防磁)
■使用ユニット:
〈ツイーター〉25mm Gold Dome C-CAM Tweeter featuring low resonance rear chamber×2

〈ウーファー〉160mm RST Bass range ×1
■入力インピーダンス: 6Ω
■再生周波数: 55Hz – 22KHz(±3dB)
■外形寸法:W360 × H225 × D180 mm
■重量:9kg

このモニターオーディオが誇る傑作ダイポール型スピーカー「ゴールドリファレンス GRFX」で得たノウハウと共に、C-CAMユニットの威力を遺憾なく発揮させたリアスピーカーが「Silver Studio FX 」です。Silverラインのダイポール型スピーカーです。

方式は2ウェイ・3スピーカー、使用ユニットは、2x25mmゴールドドーム、C-CAMトウィーター、150mm C-CAMミッド・バスユニット。寸法はW31.1xH25xD14.3cm、重量は5.1Kg、金額は78,000円/台。

そして、その次のグレードであるブロンズ・ラインのダイポール型が「Bronze BXFX」です。方式は2ウェイ・3スピーカー・密閉型(防磁)、使用ユニットは2x25mmゴールドドーム、C-CAMトウィーター、140mmC-CAMバスミッドレンジドライバー。寸法はW276xH287xD105mm、重量は3.62Kg/ペア、金額は52,500円。

2-5.KEFのダイポール型

KEFは1961年に設立されたイギリスのオーディオ・メーカーです。革新的なテクノロジーと現代的なデザインで、顕著な音と映像体験を実現しています。

中でも、自然かつ正確な表現力が特徴の「Qシリーズ」は、1991年に初登場し、数々の賞を獲得した最も人気の高い高解像度スピーカーです。そして、そんなQシリーズのダイポール型スピーカーが「Q800ds」です。

リスナーの左右にQ800dsを追加すれば、両脇の壁全体がスピーカー群となり、それぞれのスピーカーに取り付けられた2つの130mm径 Uni-Qによる逆相効果がサウンドを拡散。音がリスニングエリア全体に広がります。

金額は99,000円。

【KEF Q800ds の主な仕様】

引用:http://jp.kef.com/q800ds

■方式:3ウェイ
■使用ユニット:
・2 × 130mm (5.25in.) aluminium Uni-Q
・2 × 25mm (1in.) vented aluminium dome HF
■クロスオーバー周波数: 300Hz, 2.5kHz
■外形寸法:W348 × H180 × D180 mm
■重量:7.4kg

さらに、ホームシアターに真剣に取り組もうとする方向けにKEFが用意したのが「Rシリーズ」です。流れるようにスムーズなサウンドを放つ新開発Uni-Q点音源2ウェイドライバー。そして、同じく新開発のウーハードライバーの組み合わせは、豊かで正確な音場形成し、本格的なオーディオをより身近に感じさせてくれます。

そのRシリーズのダイポール型スピーカーが「R800ds」です。

二つの130mm径Uni-Qドライバーは逆相に働き、指向性のないすぐれた音場を創造。「何も加えない、何も引かない」正確な音が楽しめます。金額は172,000円。

【KEF R800ds の主な仕様】

引用:http://us.kef.com/r800ds

■方式:3ウェイ
■使用ユニット:
〈HF〉2 × 25mm (1in.) vented aluminium dome
〈LF/MF:〉 2 × 130mm (5.25in.) aluminium
■クロスオーバー周波数: 300Hz, 2.5kHz
■外形寸法:W350 × H180 × D184 mm
■重量:7.4kg

3.密閉型(シールド型、アコースティック・エアー・サスペンション型)

3-1.概要

密閉型のスピーカーは低音増強効果は小さいものの、低音がだらだらと下降しながら伸び、急激に減衰しない特徴があります。ブックシェルフ型と呼ばれる中・小型の密閉型スピーカーでよく見受けられる方式です。

時折、バスレフ型やバックロードホーンのように、「共鳴を利用する方式の低音は質が落ちる」と言う方もいて、「振動板からの再生音のみを聴く密閉型の低音のほうが優れている」とする方も多くいます。特に有名なのは、オーディオ評論家の高島誠氏です。

3-2.密閉型と言えば、日本製なら「クリプトン」

オーディオブランド「クリプトン」は、株式会社クリプトンが展開するスピーカーブランドです。1984年の創業以来、映像・音楽・情報ネットワーク部門で新たな市場の創造に情熱を傾けてきた企業でしたが、2005年にオーディオ部門を設立。スピーカー事業に参入しました。

こだわりは、「メイド・イン・ジャパン」と「密閉型」。オーディオ事業部長の渡邉勝氏の考えが製品づくりに大きく影響されているブランドです。

彼が密閉型にこだわるきっかけとなったのが、米国Acoustic Researchの「AR-3a」です。そのスピーカーとの出会いのことを、彼は後にこう語っています。

「エンクロージャーの容積は約50リットル。今となっては相当大きなサイズですが、当時は”こんな小さいスピーカーでこれだけの音が出るのか”と驚いたものです」。

【AR(Acoustic Research) AR-3aの主な仕様】

引用:http://audio-heritage.jp/AR/speaker/ar-3a.html
■方式:3ウェイ・3スピーカー・アコースティックサスペンション方式(ブックシェルフ型)
■使用ユニット:〈低域用〉30cmコーン型/〈中域用〉3.8cmドーム型 /〈高域用〉2cmドーム型
■周波数特性:30Hz〜20kHz
■インピーダンス:4Ω
■クロスオーバー周波数:575Hz、5kHz
■外形寸法:W356 × H635 × D292 mm
■重量:24kg

この出会いがきっかけとなって、クリプトンは密閉型のスピーカーをいくつも世に送り出します。その中でも「KX-1000P」はクリプトンのフラッグシップモデルとして、非常に高い評価を受けています。3ウェイ4スピーカーのフロア型スピーカーで、「Made in Japanの銘機作り」をコンセプトに徹底的な音質追求を図ったモデルです。

170mmのクルトミューラーコーンウーファー、35mmピュアシルク・リングダイアフラムトゥイーターに加え、スーパー・ツインドライブウーファーを搭載。これにより、口径は17cmですが25cm相当の低域再現を可能にしています。また、全てのユニットには優れたトランジェント特性と、音質に定評あるアルニコ・マグネット壷型磁気回路を採用。さらに、スーパーウーファー部と2ウェイ部とのエンクロージャーは2分割され、バイワイヤリング端子が用いられています。そのため、ショートワイヤで接続する方式で、2アンプドライブやバイワイヤリングで駆動することにより一層の高音質再生が可能な上、2ウェイ部とスーパーウーハー部を分離できるバイワイヤリング方式はスーパーウーファーの逆起電力から2ウェイ部を分離してモジュレーションを防ぐので、中高音域の透明感を損いません。

サランネットは透過度が良く、品位の高い高級西陣絹織。
発売は2009年。
金額はペアで¥997,500。

【KRIPTON KX-1000Pの主な仕様】

引用:http://www.kripton.jp/fs/kripton/kx-1000p
■形式:3ウェイ4スピーカー 密閉型スピーカーシステム
■定格入力:50W
■最大入力:150W
■インピーダンス:6Ω
■クロスオーバー周波数:150Hz、3500Hz
■再生帯域:35Hz~40,000Hz
■外形寸法:W280 x H1005 x D243mm
■質量:33Kg(スピーカーベース込み)

このKX-1000Pはクリプトンにおける最上位機種ですが、2017年10月に“ポイント・ファイブ”と名付けられたブックシェルフスピーカー「KX-0.5」が発表されました。密閉式にこだわった「KXシリーズ」の末弟的な存在(人によっては、2014年発売の「KX-1」の弟分とも)として、より手軽に高音質が手にできる機種として企画されました。

しかし、従来のKXシリーズから方向転換した側面もあります。ウーファーです。まず、磁気回路にアルニコではなくフェライト磁石を採用しており、さらに振動板もクルトミューラーコーンではなくポリプロピレンにカーボンコートを施した材質に変更しています。こうしたことが低価格化を実現している要素の一つですが、時代とともに入手が困難になり、相対的に高価格化した部品ではなく、時代に適した部品選定でコストと音質のバランスを模索したモデルとも表現できます。

とはいえ、トゥイーターには上位モデルと同様35mm径の砲弾型イコライザー付リングダイアフラム型トゥイーターを採用しています。再生周波数に応じて中央部と周辺部が、実質的に2ウェイ駆動。50Hzまで再生周波数帯域を確保しています。

なお、エンクロージャーは、針葉樹系の高密度パーチクルボードとMDFで構成。表面はスモークユーカリの自然材による突き板として、ポリウレタン塗装で仕上げています。これにより、木目の美しい高級感ばかりでなく、不要振動を抑えた優れた振動特性を両立させたそうです。

そして、密閉型スピーカーにおいては吸音材が最も重要なポイントの一つとなりますが、そこに天然ウールの低密度フェルトを採用。低音の質を決める低域制動(Q0)を最適にコントロールし、さらに優れたウーファーの低域特性との相互効果により、トランジェントの良い伸びやかな低音を実現しています。

定価が20万円以下(ペアで198,000円)で、小さいながらも良い音を鳴らすスピーカーです。

【KRIPTON KX-0.5の主な仕様】

引用:http://www.kripton.jp/fs/kripton/kx-05

■形式:2ウェイ 密閉型ブックシェルフ
■定格入力:40W
■最大入力:120W
■インピーダンス:6Ω
■クロスオーバー周波数:3500Hz
■再生帯域:50Hz~50000Hz
■外形寸法:W194 × H352 × D295mm
■質量:7.4kg

3-3.密閉型の希代の名作「Electro-Voice Patrician 800」

引用:http://audio-heritage.jp/ELECTROVOICE/speaker/patrician800.html

いまだ語りぐさとなるほど現代でも人気の「Electro-Voice Patrician 800」は、エレクトロボイスの代表作にして、オーディオ史上においても非常に有名な密閉型スピーカーです。ウエストコーストを代表するJBLやALTECとは異なり、適度なウェット感+重量感あるイーストコート独自の世界観が鳴らすサウンドが特徴です。

低域用に30Wの76cmコーン型ウーファー、中低域用に30cmコーン型ミッドバス、中高域にドライバーユニットと8HDを組合わせたホーン型ミッドレンジ、高域にはホーン型トゥイーターであるT350を搭載しています。

木工仕上げが入念に施された美しいエンクロージャーの素材には、厳選された厚さ2.5cmの板材を使用。高級家具として、部屋のコーナーに置いて使用できるよう設計されています。

「スピーカーの種類ごとにおける名機2」オーディオ解説書その10 へつづく