北欧のデザイン大国・デンマークのメーカー B&Oのブランドストーリー

世界でもっとも確立されたデザインスタイルのひとつ、北欧デザイン。
最近では、北欧デザインは北欧のスカンディナヴィア諸国およびフィンランドにおけるデザインの総称であることから、日本でも英語圏と同様、「Scandinavian Design(スカンディナヴィアデザイン)と呼ぶ人も増えている。

北欧デザインにて型づくられる、世界で最も美しいオーディオメーカーの一つ「B&O」。
今回は約1世紀にわたり機能美を追究し続けているオーディオ・メーカー「B&O」のブランドストーリー。
目次

  1. 北欧デザイン
    1-1.北欧デザインとは
    1-2.北欧デザインが日本人に愛される理由
    1-3.デザイン大国「デンマーク」の企業
    1-4.まとめ
  2. B&Oの歴史(戦前)
    2-1.創設
    2-2.創業
    2-3.「Beoー」シリーズ誕生
    2-4.まとめ
  3. B&Oの歴史(戦後)
    3-1.第二次世界大戦を超えて
    3-2.数々の「Beo-」製品
    3-3.まとめ
  4. B&Oplay誕生
  5. B&Oとデザイン
    5-1.デザイン性が高くなった訳
    5-2.バング&オルフセンのデザインに対する評価
    5-3.ヤコブ・イェンセン
    5-4.MoMa(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクション
  6. カーオーディオ
  7. まとめ

1-1.北欧デザインとは

北欧デザインは、デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランドの、北欧諸国のデザインの総称だ。1950年代から60年代ごろに世界的な評価を獲得。戦後のモダン・デザインにおいて最もポピュラーな存在となり、今尚その人気は衰える気配はない。

著名なデザイナーに「アルネ・ヤコブセン」、「ハンス・ウェグナー」などがおり、代表的なメーカーに、自動車の「ボルボ」や「サーブ」、陶磁器の「ロイヤル・コペンハーゲン」、そしてオーディオの「バング&オルフセン」がある。

1-2.北欧デザインが日本人に愛される理由

北欧の冬は長く厳しく、そのため家の中で過ごす時間が多くなる。そうしたライフスタイルにより、「飽きのこないシンプルなデザイン」と「機能的で長く愛用できる実用性」が求められ、結果的に北欧デザインは、必然的に生まれたと言われている。

北欧デザインの大きな特徴に、そのシンプルさがある。ミニマル・スタイル、と言ってもいいだろう。必要最低限の要素だけを残し、ほぼ幾何学模様のみにまで削ぎ落とす。これが北欧デザインの最大の特徴だ。

一方、日本には「わび・さび」の文化がある。
質素でシンプル。そして、自然との共生。「枯山水」はその代表であり、しばしば「引き算の美」と言われている。

ほぼ幾何学模様のみにまで削ぎ落とす「北欧デザイン」と、引き算の美に象徴される「日本の伝統的デザイン」。
地理的条件はまるで違うが、日本人が北欧デザインの虜になるのはそうした共通点があるからであり、今の日本人が本能的にバング&オルフセンの美しさに目を奪われるのはそうしたことが関係している。

1-3.デザイン大国「デンマーク」の企業

アンデルセン童話でおなじみのデンマーク。国連発表の報告書では、国民幸福度・世界一の国としても知られている。
また、デンマークは北欧の中でも、特に歴史に名を残すデザイナーを数多く生んでいるデザイン大国だ。アルネ・ヤコブセン、ハンス・ウェグナー、フィン・ユール。彼らはデザイン史上の黄金期「ミッド・センチュリー」の立役者だ。首都「コペンハーゲン」がデザインの聖地とも言われるのも頷ける。

そんなデンマークの企業は日本に30社ほど進出しているが、「レゴ(LEGO)」や「ロイヤル・コペンハーゲン」もデンマークの企業であり、その製品が「美しい」と思ったことがあるのは1度や2度ではないはずだ。

そして、バング&オルフセンは北欧が誇るオーディオのメーカーである。
美しくないわけがなく、日本人が魅了されるのはごく自然のことであろう。

1-4.まとめ

しばしば「バング&オルフセンのスピーカーは、家具のようにインテリアに溶け込む」と表現されるが、それは北欧デザインを踏襲したオーディオだからであり、日本人が北欧デザインを愛してやまないからである。

北欧デザインには、過度に主張しない慎ましさや、引き算の美という概念がある一方、内なる美しさが宿っている。それは「わび・さび」の文化に共通する部分もあれば、古き良き日本人女性のイメージにも重なるところがある。

北欧デザインのオーディオ「バング&オルフセン」。
日本人がバング&オルフセンのスピーカーデザインを居心地よく感じるのは、そうした理由があるからだろう。

2.B&Oの歴史(戦前)

2-1.創設者

B&O(バング&オルフセン)は、2人の企業家精神あふれる若いエンジニアの名前が由来である。Peter Bang(ピーター・バング;1900年〜1957年)とSvend Olufsen(スヴェン・オルフセン;1897年〜1949年)。二人は学生時代の友人だったが、それぞれのファミリーネーム「Bang(バング)」と「Olufsen(オルフセン)」をとって、社名は「バング&オルフセン」と名付けられた。

創業は1925年。
バングが25歳、オルフセンが28歳の時だった。

2-2.創業

バング&オルフセンは今からおよそ100年前、デンマーク北西の小さな町「ストルーア」で創設された。当初はオルフセン邸の屋根裏にて、ラジオ工房としてスタートした。

2人は、初期の頃から既存マーケットにない製品の開発に注力していたが、創業一年目に早速発表したのが「家庭用電源から直接電力が供給できるラジオ」だった。当時のラジオは全てバッテリーから電力を得ていたため、この開発は非常に世界を驚かせた。しかし、画期的製品ではあったが操作性が困難すぎた。そのため、生産数は10台程度だった。

その後、この発想を継承したラジオが「B&O Eliminator(エリミネーター)」だ。1927年に開発された同製品は、蓄電式のラジオが一般的だった中、家庭用電源から直接電気を供給できる使いやすいラジオだった。

この製品は商業的にも大成功を収めた。
1920年代は家庭用電源の電圧がまだ安定していなかった。そのため、当時は非常に高価で大型だった電池を使う必要があったわけだが、「B&O Eliminator(エリミネーター)」によってそれが不要となり、上がりきったバッテリーのせいで音楽が中断されてしまうこともなくなったのだ。売れない訳がなかった。

そして翌1928年、二人は新工場を新設し、1929年には新型ラジオ「5-Lamper」を発表。バング&オルフセンは創業して5年足らずで経営基盤をつくりあげた。

今でこそ、その際立ったデザインと卓越した技術により、バング&オルフセンはハイエンドでオーディオビジュアル界のシンボルと言われるが、実はその始まりは、ラジオメーカーだったことはあまり知られていない話である。

2-3.「Beoー」シリーズ誕生

2人のデンマーク人技師が1925年に創設したバング&オルフセンは、「B&O エリミネーター」、電源直結型ラジオ「3-Lamper」、新型ラジオ「5-Lamper」と、斬新なデザインのラジオを次々と発表していった。そして1939年、いよいよ「Beo-」を冠した製品「Beolitラジオ」が発表される。この「Beolit」は、最初の「Beo-」シリーズであり、新素材を用いたベークライト・キャビネットによる最初のラジオだった。

ちなみに、「Beo-」とは「B&Oの」という意味である。

2-4.まとめ

2人の技術屋に創設されたBang&Olfsen。
創業は1925年と古く、当初は今のようなハイエンド・オーディオメーカーではなかった。どちらかと言えばラジオメーカーだった。ただ、二人は常に既存市場にないものを求めた。その結果が、当時は家庭用電源の電圧がまだ安定していなかったので非常に高価で大型だった電池を使う必要があったが、それを不要とするラジオの開発に成功する。

そして1939年、最初のBeoシリーズ「Beolit」を発表。そのあたりから、バング&オルフセンはハイセンスなデザインと、卓越した技術を持つラジオメーカーとして、徐々に世間から絶大な信頼を得ることとなる。

3.Oの歴史(戦後)

3-1.第二次世界大戦を超えて

「Beo-」を冠した最初の製品「Beolitラジオ」が発売されたのは1939年。それは第二次世界大戦が始まった年であり、デンマークは同年、不可侵条約を締結したばかりのドイツに国土を占領された。そしてバング&オルフセンの工場は、デンマーク解放の直前にドイツの爆撃によってひどく損害を受けてしまう。だが、その後すぐに工場の再建が始まり、終戦後の1947年には、欧州初となるワイアーレコーダー「Beocord 84U」を発表する。

そして、翌1948年にはバング&オルフセン初のプレーヤーを開発すると、1957年には「SP1」ステレオ M1カートリッジを、さらに1964年には「Master 610ステレオ」完全トランジスター化ラジオを発表する。

これは後に「Beomaster 900」と名付けられるのだが、先進的なデザインブランドとしての地位を築く礎となったモデルだった。当時の新技術であるトランジスタを採用した、スリムでフラットなデザインを実現。また、奥行きが短くブックシェルフに置けるような設計だったため、当時のインテリアを紹介する写真集などで何度も掲載され、絶大な人気を博した。

Beomaster 900KはAMラジオ3バンドとFMラジオを切り替えて使うのだが、レコードプレーヤーとテープデッキの入力を利用して、スマートフォンなど現代の音楽プレーヤを接続すれば音楽再生も可能だ。そのため、現在でも人気がある。

3-2.数々の「Beo-」製品

1980年代に入ると、バング&オルフセンは数々の製品を発売する。
その中でも、1986年の「Beolab penta」「Beovox penta」は今でも後継機種を含めて人気の高いスピーカーシステムだ。

特にBeolab pentaの評価は高い。3ウェイ9ユニット構成で実行出力300Wのパワーアンプ内蔵のコラム型スピーカーで、13cmウーファー4つ、8cmスコーカー4つ、2.5cmトゥイーター1つという構成だ。小型ユニットをメリットを活かした、ナチュラルなサウンドと豊かな臨場感。帯域感も広く、本格的なアクティブ・スピーカーだ。

そして1996年には、BeoSound 9000を発表する。しばしば映画や雑誌にも登場し、多くの人間が憧れるCDプレーヤーだ。
6枚のCDがセットでき、ガラス越しにCDを眺めることができる大胆なデザインばかりが注目されがちだが、機能面を見てみてもインテリアに溶け込むことを強く意識している。代表的な機能として、このBeoSound 9000では、CDのセットされた位置を記憶して、再生が終わった後に上下左右がセットした位置に戻るようになっているのだ。つまり、セットされたCDもこのCDプレーヤーのデザインの一部となるわけである。また、CD以外にもFM/AMの受信の他、オプションのBeoPortを利用すればパソコンの中にためた音楽や、インターネットラジオを再生する事も可能だ。

別売りのスタンドでBeoSound 9000を立てて、スピーカーのBeolab 8000で聴く。
およそこの世で最も美しいオーディオ空間の一つになるのは間違いないだろう。
BeoSound 9000の仕様
CDプレーヤー
■SN比:101dB(A負荷)
チューナー
■プリセット局:60局(FM+AM)
■受信バンド:FM・76.0MHz〜90.0MHz / AM・522kHz〜1,629kHz
■寸法:W89.6 x H30.1 x D7.0cm
■重量:11.5kg
Beolab 8000の仕様
■構成:2ウェイ3スピーカーバスレフ型
■仕様ユニット:ウーファー・10cm x 2 / トゥイーター・1.8cm x 1
■クロスオーバー:4.2kHz
■インピーダンス:47kΩ
■感度:100dB/3m
アンプ部
■入力感度/インピーダンス:1V/47kΩ(パワーリンク)
■寸法:W15.0 x H132.0 x D15.0 cm
■重量:20.0kg
3-3.まとめ

戦後のバング&オルフセンは、オーディオビジュアル界の象徴として、かつ、確固たるデザインブランドとしての地位固めに成功した。それは紛れもなく、音楽を楽しむというライフスタイルに、北欧デザインの特徴「飽きのこないシンプルなデザイン」と「機能的で長く愛用できる実用性」が上手に溶け込んだからである。

目で楽しむ「食」もあるように、目で楽しむ「音」もある。
戦後のバング&オルフセンは、新しい音楽の楽しみ方を提案し、今なおそれを続ける老舗オーディオメーカーと言えるだろう。

4.B&O play

4-1.「B&O PLAY」名称の由来とコンセプト

2012年、スマホやタブレットとの親和性を高めたバング&オルフセンのカジュアルラインとして「B&O PLAY」はスタートした。「PLAY」の由来は「遊び心」や「フレンドリー」である。

B&O PLAYのコンセプトは明確だ。「デザイン」「素材」「音響技術」「使い勝手」の全てにおいて、B&O PLAYプロダクトチームが自信を持って「最高」と言えること。つまり、スタイリッシュなデザインと高いクオリティはそのままに、よりカジュアルに使える。それがB&O PLAYである。

4-2.B&O PLAYの特徴

「B&O PLAY」には、大きな特徴が四つある。
・バング&オルフセン製品と同等のデザイン性を保持している
・約100年の歴史・経験といったコアバリューを共有している
・直感的でシンプルな操作
・単独での利用が可能な製品群

ラインナップも(PCの登場によって音楽の聴き方が変化しつつある現代にフィットし)、日々の暮らしに溶け込み長く使えるプロダクトが揃っている。

4-3.代表的ラインナップ

スピーカー群なら、「BeoPlay A9」「BeoPlay A8」「Beolit 12」は、質感の高い素材が用いられており、見た目も非常にスタイリッシュッだ。様々なインテリアに自然に馴染み、オーディオとしてばかりでなく、モノとしての高い魅力も備えている。

当然だが、音や機能面でもハイクオリティだ。いずれもAirPlayに対応しており、A9とA8については、DLNAにも対応。スマートフォンやPC内に保存された音楽ファイルを、家のどこでも快適・最適に楽しむことができる。

また、ヘッドフォンの評価が高いのも、B&O PLAYの特徴だ。
フラグシップヘッドホン「Beoplay H6」は、ヘッドバンドには耐久性に優れた牛革を、耳に密着するイヤーパッドにはソフトな触り心地のラムスキンを使用。外観も音も、使い込めば使い込むほど味わい深くなるよう設計されている。

いずれにせよ、あらゆるB&O PLAYのプロダクトには「優れた音」「高い品質」「先進的機能」という思想が一貫しており、決してバング&オルフセンの”カジュアルライン”とは思えないクオリティが認められることは間違いない。事実、B&O PLAYのラインから、「Form 2i」がMoMAのパーマネント・コレクションに選定されいる。

5.B&Oとデザイン

5-1.デザイン性が高くなった訳

あまり知られていない話だが、バング&オルフセンの製品は、設立当時から高いデザイン性を誇っていたわけではない。創業当時の製品はさほど洗練されておらず、Ole Wanscher(オーレ・ヴァンシャー)やPoul Henningsen(ポール・ヘニングセン)から強烈な批判を浴びている。

オーレ・ヴァンシャーは「デンマーク家具デザインの父」と呼ばれ、コーア・クリントの後継者と言えるデザイナーだ。彼のデザインした家具は北欧モダンデザインの殿堂デザインとして世界中に知られており、代表作「コロニカル・チェア」を知らない人はいないだろう。

一方、ポール・ヘニングセンと言えば照明デザインの第一人者として有名だ。不快なまぶしさを抑制するという考え方「グレア・フリー」をコンセプトにしたPHランプ「Snowball(スノーボール)」はあまりに有名だ。

こうしたデンマークを代表するデザイナーから批判を受け、北欧の地で生まれ育った創業者二人「バング」と「オルフセン」は考え方を改める。そして、今のようにバング&オルフセンが社外デザイナーと共同開発を行うようになったのは、そういう経緯があったからである。

5-2.バング&オルフセンのデザインに対する評価

ラジオメーカーとして産声を上げたバング&オルフセン。当初は家具調デザインのプロダクトを製作していたが、次第に先鋭的デザインを採用するようになり、オーディオ業界におけるインダストリアル・デザインの代表的存在として高い評価を獲得。これまでに18製品がMoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションに選ばれている。

そしてそのうち、14点が1962年からバング&オルフセンのデザインに参加したインダストリアルデザイナー「ヤコブ・イェンセン」が手掛けたものである。

5-3.ヤコブ・イェンセン

1965年に加わったプロダクトデザイナー「デビッド・ルイス」をはじめ、数々の有名デザイナーたちとともに「バング&オルフセン」ブランドの名を不動のものとしたヤコブ・イェンセン。バング&オルフセンのデザイン性が今日これほどまで高評価を得ているのは、彼の功績によるところが大きい。

デンマークを代表するデザイナー、ヤコブ・イェンセン(Jacob Jensen)。1926年デンマークに生まれ、2015年に惜しまれつつ亡くなった。89歳だった。

1958年に自身の名を冠するブランド「JACOB JENSEN」を立ち上げ、1950年代にデザインした「マルグレーテ・ボウル」はデンマークの調理器具の定番となり、世界で5,000万個以上が販売された。

また、60~70年代にはバング&オルフセンのチーフデザイナーとしてオーディオなどのデザインを手がけ、デザイン界のレジェンドとして、もはや伝説として語り継がれている。MoMa(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションに選ばれているプロダクトも数多い。

5-4.MoMa(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクション

ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York)は、アメリカのニューヨーク市にある近現代美術専門の美術館だ。リリー・P・ブリス、アビー・オルドリッチ・ロックフェラー、メアリー・クイン・サリバンとその他4人の理事により、現代という時代を見据えた最初の美術館として1929年に設立。マンハッタンのミッドタウン53丁目に位置し、設立当初から「ザ・モダン」と呼ばれたモダンアートの殿堂である。

英文館名の頭文字をとって「MoMA(モマ)」との愛称で親しまれるニューヨーク近代美術館。ここには1880年代ヨーロッパの革新的アートから、今日に至るまであらゆる時代のビジュアル文化を代表する作品が所蔵されている。そして、そのパーマネントコレクション選ばれているバング&オルフセン製品は全部で18個あるが、その内の14個がヤコブ・イェンセンのデザインによるものだ。

以下はそのリストである。

・1968年 ポータブルラジオ「Beolit 1000」
・1969年 レコードプレーヤー「Beogram 1200」
・1969年 FMチューナー/アンプ「Beomaster 1200」
・1969年 チューナー/アンプ「Beomaster 3000-2」
・1969年 マイク「Beomic 2000」
・1971年 ポータブルラジオ「Beolit 400」
・1971年 スピーカー「Beovox 2700」
・1971年 スピーカー「Beovox 3700」
・1972年 レコードプレーヤー「Beogram 4000」
・1974年 ターンテーブル「Beogram 4002」
・1974年 ターンテーブル「Beogram 6000」
・1974年 アンプ「Beomaster 6000」」
・1976年 レシーバー「Beomaster 1900」
・1979年 ラジオ/チューナー/カセットデッキ「Beocenter 7000」

6.カーオーディオ

バング&オルフセンは、近年では様々な企業とパートナーシップを結んでいる。観光業界では「ハイアットインターナショナル」「フォーシーズンズ」「マンダリン・オリエンタル」など、自動車メーカーでは「AMG」「アウディ」「BMW」等、高級なこだわりをもつユーザーをもてなすための設備として、絶大な支持を得ている。

ただ、現在「バング&オルフセン」のカーオーディオ関連部門の会社組織は、2015年にハーマン・インターナショナル社によって買収され、バング&オルフセンのカーオーディオ関連部門のみハーマン・インターナショナル社の傘下に収まっている。

※ハーマン・インターナショナルは「ハーマンカードン」「JBL」「マークレビンソン」などの高級カーオーディオを手がける高級カーオーディオの最大手。

ところで、カーオーディオにもバング&オルフセン独特の高いデザイン性は反映されている。その個性的なスピーカーデザインは見て楽しく、車内インテリアとしても好評だ。

その美しさは他に類を見ない付加価値とあって、高級カーメーカーの純正OEM製品として採用されているバング&オルフセン。アウディ・BMW・アストンマーチン・メルセデスベンツAMGなど、多くの高級ヨーロッパメーカーのカーオーディオがクライアントだ。

今後は是非、日本の高級車にも導入されることを期待したいものだ。

7.まとめ

Bang & Olufsenは1925年、2人のデンマーク人エンジニア「ピーター・バング」と「スヴェン・オルフセン」により、デンマーク北西の小さな町ストルーアで創業された。設立当初はラジオ工房だったが、既存マーケットにない製品の開発を心がけたバング&オルフセンは、次々と固定観念を打ち破るプロダクトを生み出していった。

順風満帆だった。
が、第二次世界大戦中の1945年、工場はドイツ軍に完全に破壊されてしまう。

しかし、二人の会社には不屈の精神が備わっていた。その翌年から工場を建て直し、次々に技術とデザインを両立させたした製品を発表。そして、それらの数々がニューヨーク近代美術館(MoMA)のパーマネントコレクションに選出されると、バング&オルフセンは、その際立ったデザイン・卓越した技術により、オーディオビジュアル界の象徴としての地位を築き上げる。

そして、そこに最も貢献したのが、同じくデンマーク人デザイナー「ヤコブ・イェンセン」だった。
彼がデザインしたバング&オルフセンのプロダクトは、実に14種類がMoMAのパーマネントコレクションに選出されている。

最先端の技術と感性に訴える斬新なデザインが、多くの人々を魅了してやまないバング&オルフセン。2012年にはカジュアルライン「B&O play」をスタートさせ、卓越したデザインとともに、耐久性・性能的にも高い品質を持ってして、素晴しい音楽環境を提供している。

デザイン面だけが話題になりがちだが、2014年にはBeoSound Essenceで、国際的に最も権威のあるデザイン賞の一つ「レッドドット・デザイン賞」を受賞。デザインの革新性、機能性、エコロジー、耐久性など9つの基準で評価され、特許技術を駆使していることもあって、世界最高峰の音響性能を誇ると世界中で人気だ。また、通常の限界値以上の圧力や負担をかけ、自社製品に対し過酷すぎるほどの念入りさで物理試験テストを行うことからも、高い信頼を得ているブランドである。

広範囲にわたり、独自の販売ネットワークにより100ヵ国以上で販売されてるバング&オルフセン。
今後も高いデザイン性と機能性により、私たちに永遠なる音楽の美しさを提供してくれることだろう。