50代・60代のための「3ステップ生前整理」

「生前整理」という言葉は、ほとんどの方が一度は耳にしたことがある言葉かと思います。また、生前整理は何となく「やらなくてはならないもの」という認識も、最近になってとても浸透し始めているように感じます。

しかし、具体的に行動を起こす人は、その内どれほどいるでしょう。詳しい数字は把握していませんが、生前整理の重要性は感じながらも、実際には行動しない人がいることは間違いありません。

いくつかの理由が考えられます。

自分が生前整理に取り組むべき本当の理由や目的が見えない。
生前整理の具体的な方法がわからない。
どこか不謹慎だったり縁起でもないと思えてならない。

生前整理という言葉は死を連想させてしまうので、どうしてもネガティブに捉えてしまうのでしょう。

しかし、多くの方がぼんやりとわかっている通り、生前整理は誰もが取り組むべき行動です。そこでこの記事では、生前整理が必要な理由とその目的、およびそのメリットを具体的に共有しながら、どのように生前整理に取り組むべきかを3ステップで紹介します。

●生前整理の意義

・生前整理とは

生前整理とは、生きているうちに自分の死後を考えて、財産などの整理をすることです。いわゆる「終活」の一つで、最近では葬儀やお墓のことで家族に苦労をかけないためにも、自分でそれらを手配して身辺整理することも生前整理と呼んでいます。

主に高齢の方が意識する生前整理ですが、病気の人と関わったり、親族を看取った後、自己の死後について考え始める若い世代も増加しています。特に2017年にフリーアナウンサー・小林麻央さんが34歳で亡くなったこともあり、近年では実際に20代・30代といった若い世代も生前整理に取り組む人が増えています。

一方、よく似た言葉に「老前整理」がありますが、老前整理は株式会社くらしかるの登録商標です。「老いる前に整理して、身軽になって人生を送ろう」という自分のための整理です。生前整理との大きな違いは、生前整理が「自分の死後」を考えて行うものであるに対し、老前整理は「自分のこれから」を生きていくために行う整理である点です。

が、いずれも必要な行動であることに変わりはなく、両者とも元気なうちに取り組むのがベストだと言われている整理です。

・生前整理の必要性とそのメリット

生前整理は、もともとは残された家族間で相続トラブルが起こらないよう、自分が生きている間に様々な事柄を整理しようとする性格のものです。そのため、生前整理を行えば財産の整理がしやすくなり、相続財産の一覧が作成できるというメリットがあります。

●誰のための生前整理?

生前整理は誰のために行うのか。

もちろん、自分のために行うという方もいるでしょう。

厚生労働省によれば、日本人のおよそ半数ががんにかかるという統計があります。また、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者は700万人を超えるとの推計値も発表されています。これは65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症を患うことを表しています。

そこで、あなたがもし、がんに罹患した、あるいは認知症を患った場合のことを考えてみましょう。がんの治療費や医療費、施設への入居費用は決して安くありません。しかし、生前整理により、財産整理がしてあればどうでしょう。きっと、自分の「いざ」という時に慌てずにすみます。生前整理が済んでいるだけで、不安が一つ減らせます。つまり、生前整理が人生の精神的安心材料になるわけです。

不安はストレスになり、ストレスは時に想定外の病を引き起こします。ですから、こうした側面から、生前整理は自分のために行うものと考える人も少なくはありません。

が、やはり生前整理は、二つの要素から残された家族のために行う性格が強い整理です。

まず最初に、遺産相続の申告をイメージしてみましょう。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、相続の申告は非常にエネルギーと時間を費やします。しかし、そこまで多大な労力を要する相続の申告ですが、その後まったく予期していなかった財産が見つかると、再び申告をやり直さなければなりません。「もう一度あの労力を要するのか」。多くの方がその必要に迫られた時、それだけで気が滅入ってしまうそうです。

かといって、放置しておくわけにもいきません。申告後に新たな財産が発見された場合は、原則として申告のやり直しが義務付けられています。この再申告を「修正申告」と呼びますが、申告は被相続人の全ての財産についてなされるべきものです。したがって、一旦申告が終わっても新たに財産が発見されれば、修正申告は必要です。

仮に500万円が後で見つかって、修正申告をしなかったとします。

税務署は、基本的に被相続人の死亡前5年にわたる履歴を金融機関に請求し、相続税の調査を行うと言われています。もし被相続人が死亡直前に金融機関から500万円を引き出し、それを隠し金庫に入れていたような場合、この情報は税務署は必ず把握していますから、その使い道はシビアに調査されます。

少しずつ預金から引き出していたとしても、見つかる可能性は限りなく高いと言われています。税務署は住宅ローンや株など、多岐にわたる情報を保有しており、被相続人の収入情報については詳細まで知り尽くしています。収入に比して貯金額が少なく、一方で不動産や有価証券などにも形を変えていないとなれば不自然だとみなされます。

このように、税務署は被相続人に関する多くの情報を有しているので、隠し財産は必ず指摘されます。そして、財産があることを知りながらそれを隠す行為は、脱税の中でも非常に悪質と判断されます。ですから、当然それ相応のペナルティが課せられ、最悪の場合、刑事訴追の可能性もあります。

ですから、残された家族が何度も大変な申告をしなくてすむように、つまり申告が一度で終わらせられるように、前もって財産の整理をしておくことは非常に家族のためになります。これが、生前整理が家族のためにやるべき理由の一つ目です。

二つ目は、残された家族の精神的・肉体的負担軽減です。

何の準備もなく亡くなった方の遺品整理はとても大変です。実際、遺品整理に携わったことのある方は、皆口を揃えて「二度とやりたくない」と言います。生前の膨大な遺品の片付けは、思った以上に肉体的にも精神的にも負担が大きいものなのです。ですから、残された家族にこうした苦労をかけないためにも、モノを減らしたり、自分が亡くなった後のモノの行先や処分方法を決めておく生前整理は非常に大切なのです。

●遺品整理が生前整理より大変な3つの理由

1.生前整理は時間的制限がない

生前整理は自分で自分の身辺整理をすることですから、何を処分すべきかは誰よりもわかっています。その上、時間的な制約もほとんどありません。

一方、遺族が行う遺品整理は、それらが自分のモノではない以上、「どこから手を付けたらいいのかわからない」「どこに貴重品が保管されているかわからない」など、スムーズに進めることはたいてい困難です。さらに、多くのケースでは時間的制限も伴います。次の項では遺品整理の具体的な時間的制限について解説します。

1-1.宗教から考える時間的制約

宗派により色々ですが、仏教に限って言えば、四十九日を目安に遺品整理を行う遺族が多い傾向にあります。

四十九日は初七日から七日ごとに受けたお裁きにより、来世の行き先が決まる最も重要な日です。この日は「満中陰(まんちゅういん)」と呼ばれ、その日を境に故人の魂は次の世へ旅立って行きます。つまり、故人の魂は死後四十九日まで現世をさまよっているから、この四十九日を目安に遺品整理は行われがちです。

また、四十九日は故人の成仏を願って極楽浄土に行けるよう、家族や親族、故人と縁の深かった方々を招いて法要を営みます。そして、この日をもって忌明けとなり、法要後、忌明けの会食を開くのが通例です。つまり四十九日の付近は多くの人が集まるので、それを目安に遺品整理を行う方が多い、ということもあります。

なぜ人が多く集まる日に遺品整理に取り組みがちなのかというと、一部の相続人だけで遺品を整理すると、遺品整理後に他の相続人から「貴金属や時計、オーディオなどの資産があったのではないか」と疑われることが考えられるからです。ですから、遺品整理は相続人全員で行うのが一般的であり、関係者が最も集まる四十九日付近に行われやすいのです。

1-2.税金の面から考える時間的制約

もちろん、仏教も含め、四十九日までに遺品整理を行わなければならないルールはありません。ただ、これだけは確実に断言できます。遺品整理は、遅くとも相続税が発生する前までには完了しておくべきです。

相続税とは、相続する遺産にかかる税金です。故人の財産が相続税の非課税額を超えていた場合、申告書を作成し、税務署に提出する義務があります。そして、この申告書の提出期限は、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内です。その期間内に申告・納税しなければなりません。この期間を過ぎると、相続税の控除が受けられなくなり、延滞税が課されることもあるからです。

つまり、税金面から考えれば、遺品整理は「遅くとも死後10ヶ月」としておく方がリスクの低減につながります。

1-3.遺品整理における時間的制約の総括

遺品整理は、死後いつまでに行わなければならいという規則はありません。しかし、遺品整理完了の推奨期間は存在します。それは「遅くとも10ヶ月以内」です。それまでに遺品整理を完了させておかないと、払う必要のない相続税を支払わなければならなくなる可能性があるからです。

しかし、生前整理は遺品整理と違って、基本的には時間的制約はありません。気が向いた時に、気が向いた分だけ片付ければ良いだけです。だからこそ、遺品整理は生前整理よりも大変だと言われるのです。

2.遺品整理は家族の精神的負担が大きい

大切な方がなくなると、多くの人は「一緒にいることができなくなった」という事実と、「それを認めたくない」という葛藤が悲しみとなって身に降りかかります。故人の愛用品は二度と使われることのない思い出の品となり、こみ上げてくる寂しさに整理の手は進みません。

それは遺品整理を業者に頼んでも変わりません。

最終的には、遺品整理の業者も遺族に処分方法を確認しますから、見て見ぬ振りはできません。むしろ最終的には業者に任せたことへ罪悪感を抱いてしまう人が少なくないようです。もちろん、遺品整理は誰かがいずれはやらなければならないことですから、罪悪感を覚える必要などないはずなのですが、それが遺族の心理なのです。

これが、遺品整理が生前整理より大変だと言われる二つ目の理由です。

3.遺品整理の方が手間も費用もかかる

単純に考えて、整理すべきものが多くなればなるほど、遺品整理は大変になります。ですから、遺品整理はどれだけ片付けられているかにより、要する労力は大きく変わります。もちろん、業者に遺品整理を依頼した場合には、その労力次第でかかる費用は変わります。目安としては、1Kで最低30,000円〜、一軒家で最低70,000円〜程度ですが、遺品の量は様々です。まずは見積もりをとるようにしましょう。

コツコツと行う生前整理と異なり、遺品整理は短時間で大量の物を整理しなければなりません。ですから、手間も費用も、遺品整理の方が生前整理よりかかります。

この点こそ、遺品整理が生前整理より大変だと言われる三つ目の理由です。

●生前整理の3ステップ

上述の通り、もしあなたが家族に負担をかけたくないとお考えなら、生前整理は取り組むべき終活です。この項では、その生前整理を3ステップに分けて、どのように生前整理を進めるべきかについて解説します。

1.【ステップ1】分類する

1-1.自分のモノを7つに分類する

生前整理は、まずは自分の持ち物を分類することから始めます。
分類項目は大きく7つあります。

①日用品
日常生活で使うものです。

②重要書類や財産
契約書や有価証券など、明らかに相続税に関係するものです。

③人から借りていたもの
もしあなたがオーディオ愛好家なら、一度や二度は、レコードやCD、オーディオ雑誌などを、人から借りたことはあるのではないでしょうか。

④捨てることができない大切なもの
思い出が詰まっていて、誰にでも捨てることのできない音楽は1曲はあるものです。例えばそんなCDやレコードが、ここで言う「捨てることのできない大切なもの」です。

⑤大切ではないが捨てられないもの
もう聴くことはないだろう。そう思っても、今まで大切にコレクションしてきたレコードやCDはどこかもったいなく手放せないものです。そうしたものが「大切ではないが捨てられないもの」です。

⑥もう使わないが手放したくないもの
オーディオ雑誌をコレクションしていた。そんな方にとって、オーディオ雑誌はもう読まないかもしれませんが、どことなく手放したくないものなことでしょう。それが「もう使わないが手放したくないもの」です。

⑦不用品
不要なのに家にあるものです。いわゆるゴミです。

1-2.分類するときの注意事項

以上のように、生前整理はまず、自分の所有品を7つに分類することから始めます。しかしこの際、注意事項があります。「急がない」「焦らない」です。

短時間で生前整理をすませるのには無理があります。どれもこれも、何かしらの思い出が染み付いているはずです。簡単には上記7つのどれに当たるかは判断できないことでしょう。その時は、じっくり思い出に浸ってください。これが生前整理を上手に進めていくポイントです。

一般的に、断捨離は「感情を排して捨てることに専念する」ことがベストだと言われています。確かに、感情を排して作業に徹すれば、整理は早く済むことでしょう。しかし、いま解説しているこの作業は「断捨離」ではなく「生前整理」であることを忘れないでください。

何のために生前整理をするのか?単純に片付けることだけが目的ではないはずです。片付けや整理、それ以上の意味があるはずです。そして、生前整理は分類が一番大切です。是非じっくり時間をかけて分類しましょう。

2.【ステップ2】処分方法を決定する

分類が完了したら、次は処分方法を決定します。
「残す」「売る(譲る)」「返す」「捨てる」の四つの処分方法に基づき、「売る」以外は処分を開始します。

①日用品
日常生活で使うものですから、処分は不要です。

②重要書類や財産
基本的には「残す」べきものです。

ただし、その際、重要書類や通帳、有価証券などはどこに保管しておくのか、エンディングノートなどに記してておきましょう。どこにあるのかわからなければ、遺族が相続の申告時に大変な思いをします。

③人から借りていたもの
可能なら「返す」べきものです。

例えば、人から借りたレコードやCD、オーディオ雑誌などは、返すことができる状況なら必ず返却しましょう。

④捨てることができない大切なもの
基本的には「残す」べきものです。

例えば、思い出が詰まっていて捨てることのできないCDやレコードです。しかし、「残す」ことを選択した以上は、あなたの死後、それはどう処分すべきか、どう処分してほしいか、希望や指示をエンディングノートなどに残すようにしましょう。そうでなければ、遺品整理の際に遺族がどうしたらよいのか困ってしまいます。

⑤大切ではないが捨てられないもの
基本的には「売る」または「譲る」べきものです。

例えば、捨てるのはもったいない。そう思える品は、売るか譲るかを考えましょう。

⑥もう使わないが手放したくないもの
基本的には「残す」べきものです。

手放したくない。そう思えるものは、やはり手元に残しておきましょう。しかし、この際も、自分の死後はどう処分すべきか、残された家族が困らないように要望は残しておきましょう。

⑦不用品
不要です。捨てましょう。
ただし、買取屋やリサイクルショップに持ち込めば売れるものもあるかもしれません。貴金属は当然ですが、カメラや時計、オーディオも高値で買い取ってくれる業者がいます。情報収集してから処分しましょう。

3.【ステップ3】売り先を決める

④捨てることができない大切なもの
⑥もう使わないが手放したくないもの
の二つについては、現段階では「残す」と決めた品物です。

しかし、先述した通り、あなたの死後にどう処分すべきかの希望を残しておかなければ、遺族は必ず処分方法に困ります。あなた自身が捨てることのできなかったものや、あなた自身が使わなくても手放したくないと思っていた品物です。残された家族が悩まないはずがありません。ですから、必ずエンディングノートなどに「どう処分してほしいか」は記しておきましょう。

ただ、ここで注意すべきポイントが一つあります。それはオーディオの処分です。

意外とオーディオが高値で取引されていることを知らない人は多いようです。逆に、そこを狙って不当に安く買取、高く転売している悪徳業者もあとを絶ちません。ですから、例えばスピーカーやアンプ、プレーヤーなどのオーディオ機器を

④捨てることができない大切なもの
⑥もう使わないが手放したくないもの

と分類した時は、遺族へのメッセージとして、必ず「オーディオ買取専門店へ相談すること」と明記しておくことです。オーディオが趣味でない人には、オーディオの価値は全くわからないからです。

そして、もし可能なら、あなたが気になる(あるいは信頼できそうな)オーディオ買取専門店を書き残しておいてもよいでしょう。オーディオに精通している人なら、あなたのオーディオが高値で買い取ってくれることは予想できるでしょう。しかし、遺族の中でオーディオに詳しい人がいないのなら、最悪粗大ゴミとみなされたり、リサイクルショップなどで非常に安値で売ってしまうかもしれません。

そもそも、全くオーディオに関心のなかった人にとって、オーディオを買取屋に引き取ってもらうこと自体が非常に重労働です。慣れない言葉が飛び交い、遺族は必ず困惑することでしょう。

こうした精神的負担を軽減するためにも、可能な限りオーディオ買取専門店をリストアップしておいてあげましょう。

一方で、
⑤大切ではないが捨てられないもの
としてオーディオを分類した方は、今すぐオーディオ買取専門店へ「いくらで買い取ってくれるか」相談してみましょう。あなたにとっては不要でも、そのオーディオがほしい人は必ずどこかにいます。そうした方へ譲るためにも、オーディオ買取専門店へ見積もり依頼をしてみましょう。

また、
⑦不用品
としてオーディオを分類した方も、そのオーディオはあなたにとって不要でも、高値で売れるケースは多々あります。まずはオーディオ買取専門店へいくらで売れるのか尋ねてみましょう。

●信頼できるオーディオ買取専門店の見分け方

オーディオの買取査定に最も必要なことは、オーディオに対する知識です。ですから、オーディオ買取スタッフに求められる第一条件は、オーディオに造詣が深いことです。

オーディオを買取るお店は大きく二つに分かれます。「リサイクルショップ(総合品目買取店)」と「オーディオ買取専門店」です。そして、もちろんオーディオに精通しているのは、リサイクルショップのスタッフより、オーディオ買取専門店のスタッフです。ですから、総合買取店への持ち込みより、オーディオ買取専門店へ買取を依頼した方が、買取価格は高くなる傾向にあります。

オーディオを高く売りたい。

もしそうお考えなら、ぜひオーディオ買取専門店へ買取を依頼しましょう。

●私たち「オーディオ買取屋」は、業界最高値での買取を目指しています。

私たちオーディオ買取屋は、買取価格No.1宣言を掲げ、全国からオーディオを買い取らせていただいています。

私たちが大切にしていることは、ヴィンテージオーディオから最新オーディオまで、あらゆるオーディオの情報を入手すること。そして、市場調査を徹底することです。この二つを繰り返すことで、私たちは皆さまのオーディオを最高値で買い取ることができると信じております。

見積もりは無料。
梱包材や送料も無料です。

あなたの生前整理に役立ちますように。

私たちはオーディオの買取を通して、あなたの生前整理を応援します。