オーディオ辞典【アルファベット】

スイッチング歪みすいっちんぐひずみ

switching distortion

B級プッシュプル増幅器で、波形のつなぎ目に生じるパルス状の歪みのことをいいます。

プッシュプル回路の上または下の素子の電流が、信号の半サイクルごとに止まる瞬間、素子の応答がスイッチングに際して遅れるために発生します。高い周波数において発生しやすくなっています。

スタビライザーすたびらいざー

stabilizer

オーディオ機器や、CD、レコードの上に置き、重さを利用して振動を抑える装置のことです。

出回っている製品の多くはレコードスタビライザーで、その効果はレコード溝から針が音を拾い上げる時の振動を整え、余分な音をできる限り消すことにあります。

自分好みの音質に微調整するため、複数のウエイトを組み合わせることによって重量が変えられる製品もあります。

ストロボスコープすとろぼすこーぷ

stroboscope

オーディオにおいては、レコードプレイヤーの回転速度を測定するための装置のことをいいます。

サイドに縞模様のパターンがつけられているターンテーブルか、パターンがつけられた円盤をターンテーブルに置き、回転させます。

そこを蛍光灯の明かりで照らして、パターンがストロボ効果によって静止して見えれば、正しい回転速度で回転していることがわかるという仕組みです。

一瞬だけ点灯する光源を一定間隔で繰り返し発光させ、回転しているものを可視化させるシステムを応用したものです。

セミオープン型ヘッドホンせみおーぷんがたへっどほん

Semi-opening type headphones

セミオープン(半密閉)型は、ヘッドホンの音を増幅するハウジング部分に小さな穴が開いているタイプのものをいいます。

ハウジングの穴は、超低音を増幅するとともに、低音のこもりや高音の共鳴を防ぐ役割を果たしています。

また、適度な遮音性も持っています。

ヘッドホンは構造によって様々な種類があり、他にはオープン(開放)型やクローズ(密閉)型、フルオープン(全開放)型などがあります。

クローズ型は、ハウジングに穴がないものをいい、重低音の再現に有利なほか、遮音性に優れています。

オープン型はハウジングに穴が開いていて、音場が広く音の抜けがよいといった特徴があります。

その代わりに重低音を出すために大きなドライバーが必要になり、その分高価格帯の製品が多いようです。

ソースダイレクトそーすだいれくと

Source direct

アンプに入力された信号を、最短経路で処理し、スピーカーに送るための機能です。

信号がトーンコントロールやバランス回路、フィルター回路を経由しないため、ノイズの混入や信号劣化の減少が期待できます。

同じような機能にパワーダイレクトがあります。

製品によって違いがありますが、ソースダイレクトはCDやAUX、フォノなどの端子から入力された信号を扱いますが、パワーダイレクトは、専用の入力端子が設定され、より最短で信号を送ることができる機能となっていることが多いようです。

ダイナミックスピーカーだいなみっくすぴーかー

electrodynamic loudspeaker

磁石、ボイスコイル、振動板で構成される、最も一般的なスピーカーです。

ドーナツ型の永久磁石でつくられた磁気回路の中にボイスコイルを入れて音声信号を流すと、ボイスコイルが振動します。

この振動が振動板に伝わって音波を放射し音が出る仕組みです。

磁石、ボイスコイル、振動板がフレームに取り付けられたものがスピーカーユニットです。

このスピーカーユニットがエンクロージャーに取り付けられたものが、一般にスピーカーと呼ばれる製品です。

ダイナミックスピーカーに使われる振動板には、コーン型やドーム型、ホーン型、リボン型などがあります。磁石はフェライト磁石が一般的ですが、アルニコ磁石などを使った製品もあります。

ダイナミックレンジだいなみっくれんじ

dynamic range

入力信号の最小レベルと最大レベルの差のことをいいます。

オーディオにおいては、最小レベルは機器が発するノイズであり、最大レベルは、機器が出しうる歪みが発生しない最大値で、この差がダイナミックレンジということになります。

ちなみにアナログレコードのダイナミックレンジは、60~65dB、オープンリールは約70dB、CDは約95dBとされています。

では普及著しいハイレゾではどうかというと、24bitデジタル録音の場合は120dBを越えるダイナミックレンジも可能とされています。

人間の聴覚が持つダイナミックレンジは120dBといわれていますから、それに迫る数値を出せることになります。

D/Aコンバーターでぃーえーこんばーたー

digital to analog converter

デジタル電気信号をアナログ電気信号に変換する電子回路です。DAC(ダック)とも呼ばれます。CDプレーヤーなどのデジタル機器から出力された信号は、アンプからスピーカーに信号が送られる前のどこかの段階でアナログ信号に変換されています。マニアの方でなければ、それはプレーヤーやアンプの中のDACで行われています。ただデジタル機器の中でDA変換を行うと、回路から発生したノイズが混入することから、独立した機器としてのDACが用いられます。ここに来てハイレゾやネットワークオーディオの普及で、単体のDACが注目を浴び、多くの普及機が登場しています。パソコンをプレーヤーとして使う場合には、USB DACといった便利な機器も出ています。

DATでぃーえーてぃー/だっと

digital audio tape

音声をデジタルで記録し、再生の際はD/A変換するテープレコーダーまたはそのテープのことです。現在ではデジタル音声データとして標準化された規格のことを指します。カセットテープのような表裏両面収録はできず、片面のみの収録機能を持っています。カセットテープのように一般利用にはあまり普及しませんでしたが、高音質を求める業務用、プロ用として利用されていました。程なくしてMDが出てくると、その手軽さや価格から、主流はMDに移りました。最後まで音楽用DATテープを生産していたソニーが、2015年に製造を終了したので、今は在庫限りとなっているようです。

DSPでぃーえすぴー

digital signal processor

デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサです。マルチメディア用としては、特定の演算処理を高速に行える機能を生かして、音声などのアナログ信号から変換されたデジタル信号の処理を行っています。AVアンプなどは、使っているDSPの能力を、製品の特徴として謳っていることもあります。