KEFエレクトロニクス社は、1961年、元BBCの電気技術者「レイモンド・クック」により設立されたスピーカーメーカーです。本社はロンドン南東のケント州。そしてKEFの名は、ケント州の州都「メイドストーン」にあった「Kent Engineering & Foundry （ケント・エンジニアリング＆ファウンドリー）」という金属・鋳物工業の工場構内に、最初のKEFの工場を設立したことに由来しています。

KEF（ケー・イー・エフ）の歴史と特徴

同社の製品第一号機は「K1」。
1960年代、ダイアフラムはパルプ系コーンが主流でしたが、KEFは樹脂系ダイアフラムを開発・採用するなど、再現性とユニークな発想により高い評価を獲得。1966年にはBBCとの協力関係が再形成され、共同開発による「LS3/5a」などのスピーカーを発表します。

この「LS3/5a」はイギリスを代表する小型スピーカーです。そして、その前身「LS3/5」は英国BBCの技術部門によって開発されるのですが、「LS3/5」はKEFが開発したベクストレン・ダイアフラムの11cm口径コーン型ウーファー「B110」と、樹脂系素材のマイラードームの1.9cm径の「T27」を搭載しており、KEFはこの二つのユニットを、BBCモニターを生産するスペンドールやロジャース、ハーベスといったブランドに供給してきました。

近年のKEF製品といえば、やはり世界中で特許を取得している「UniQドライバー」搭載のスピーカーでしょうか。「UniQドライバー」はNASAのために開発した技術をベースにしている点音源です。2ウェイであるにも関わらず、あたかも1点から音が出てきているかのような位相特性を持ち、帯域バランスと定位の良さから世界中で多くの愛用者を獲得しています。

そして2007年には、この「UniQドライバー」搭載のスピーカーシステム「MUON（ミューオン）」を限定100セット受注生産で発売。その価格はペアで1995万円と、KEFは最も先進的で革新的スピーカーメーカーの一つであると同時に、話題には事欠かないスピーカーとして、今なお世界中のオーディオ愛好家に愛され続けています。