従来の音楽プレーヤー以外にも、パソコンやスマートフォンなどとワイヤレスで接続できる「Bluetoothスピーカー」。室内で据え置きスピーカーとして音楽をじっくり楽しむのはもちろん、アウトドアでも手軽に音楽を流せる利便性が人気です。
そして、利用シーンが多様化すればするほど、Bluetoothスピーカーも様々なタイプが登場し、今では性能・機能・デザインは、メーカーごとに大きくことなります。
そこで今回は、お勧めのBluetoothスピーカーをメーカーごとに型番でご紹介。
ぜひBluetoothスピーカーを選ぶ際の参考にしてください。
1.【意外と盲点】購入前に最終確認したい2つのポイント
1-1.SCMS-T
「SCMS-T」とは、コンテンツ保護方式の一つです。国際規格の「IEC60958」で採用されている、デジタル録音機器に付与されているコピー防止技術「SCMS」の派生規格です。
「SCMS」は、連続コピー管理システムを意味する英語「Serial Copy Management System」のイニシャルの略称です。もともとは、民生用DAT(デジタルオーディオテープ)やMDなどのデジタル録音機器に付与されていて、オリジナルから子世代へのコピーはできますが、子世代から孫世代へのコピーを禁止するコピー防止技術です。
このSCMS方式では、デジタルデータには「SCMSビット」というコピープロテクション用のデータが付加されていて、オリジナルデータには「コピー許可」という情報が書き込まれていますが、データ再生機器にデータが伝送された際に「コピー許可」は「コピー不可」という情報に書き換えられます。そして、「コピー不可」と書かれたデータは、再生は可能ですが複製はできないようになっていて、1世代だけのデジタルコピーは可能にしながら、コピーから新たなコピーが生成できないように設計されています。
SCMS-Tも、BluetoothのA2DPなどにて同様のことを行います。
A2DPとは「Advanced Audio Distribution Profil」の略で、「進化した音楽配信」を意味するハイクオリティオーディオのためのプロファイルです。そして、SCMS-T対応機器では、このA2DPプロファイルにより無線で伝送されたデータの「コピー許可」という情報は、スピーカーやヘッドセットへ転送された際「コピー不可」に書き換えられ、「コピー不可」としてスピーカーやヘッドセットへ転送されたデータは、SCMS-T対応オーディオでは再生できますが、非対応では再生すらできません。
例えば音楽ダウンロードサービスを利用した場合、それぞれの音楽データは端末にダウンロードした時点で「コピー不可」の情報が付加されます。そして、そのデータをBluetooth機器に無線で通信すると、SCMS-T対応機器では試聴できますが、SCMS-T非対応機器では2回目のコピーとみなされるため聴けなくなります。
ちなみに、地上デジタルテレビ放送(地デジ)では、規格上Bluetoothを出力機器として使用する場合、SCMS-Tが必須です。ARIB(電波産業会)が承認するARIB標準規格「TR-B14 第八編 地上デジタルテレビジョン放送コンテンツ保護規定」の「5.3.1 出力に対する機能要件」では以下のように定めています。
「Bluetoothインタフェースでデジタル音声出力する場合は、接続認証、暗号化通信、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)及びSCMS-Tを実装し、かつ、これらに対応しない機器には音声出力しないこと」
すなわち「ワンセグも含め、地デジ放送をBluetoothオーディオで視聴する場合には、必ず送信側/受信側ともSCMS-T対応オーディオを使用せよ」ということです。
そのため、国内メーカーではSCMS-Tを実装している製品は多くありますが、海外製品や海外製品のOEM製品の場合、非対応のモデルが多い傾向にあります。したがって、ワンセグ放送の音声をBluetoothオーディオで楽しみたい場合には、「SCMS-T」への対応は必ず確認しましょう。
1-2.「動作確認音」の大きさ
Bluetooth機器は、Bluetoothオーディオに限らずほとんどの機種において、電源のON/OFFやペアリング時に電子音が流れます。それ自体は動作確認ができるので肯定的に捉える方が多いのですが、モデルによっては音量設定に関わらず、常時同じボリュームでの動作確認音が鳴り響くようです。したがって、深夜に電源を切ろうとしたり、あるいは一定時間信号が途絶えると自動的に電源が切れるモデルでは、突然大音量で電子音が鳴り響き、驚く事例が数多く報告されています。そのため、あまり聞き慣れない話だとは思いますが、Bluetoothスピーカーを購入する前には、どんな音がどれくらいの大きさで鳴るのか確認しておくことをお勧めします。
2.【ハイレゾ対応も】ONKYOのBluetoothスピーカー
2-1.オンキヨー「X9」
オンキヨーの「X9」は、USB入力時にはハイレゾ対応したBluetoothスピーカーです。57Hz~40000Hzまでのワイドレンジ再生が可能な上、スピーカードライバーは8基搭載。すべての音楽をダイナミックに再生します。
また、最大4台までのBluetooth機器とのマルチペアリングができ、NFC対応なので接続も簡単です。そして、バッテリーは最大10時間連続再生可能な大容量バッテリーを内蔵し、オーディオイン端子(Micro USB type B、3.5mm AUX)も搭載。さらに、スマートフォンとの接続時にハンズフリーでの通話が可能なマイクも標準で装備されています。
【主な仕様】
ドライバー構成は、19mm径ツイーター×2、50mm径フルレンジ×4、パッシブラジエーター×2。
周波数帯域は、57Hz~40000Hz、最大出力が40W(4×10W)。
インターフェイスは、USB、3.5mmステレオミニ、ヘッドホン。
Bluetoothのバージョンは2.1。
本体サイズはW300 × H144 × D63(mm)。
重量は1474g。
2-2.オンキヨー「X6」
X6は、2つのパッシブラジエーターを搭載し、パワフルな低域再生を実現するBluetoothスピーカーです。最大の特徴は、DSPを搭載し、音の歪みを抑えている点です。
スマートフォンなどのモバイルデバイスが充電できるUSBポートも備え、最大4台までのBluetooth機器とのマルチペアリングが可能です。
【主な仕様】
ドライバー構成は、40mm径フルレンジ×2、パッシブラジエーター×2。
周波数帯域は65Hz~20000Hz、最大出力は12W(2×6W)。
Bluetoothのバージョンは4.0。
本体サイズはW180×H63.8×D87.4(mm)。
重量は870g。
2-3.オンキヨー「T3」
まるで宝石箱のようなデザインのオンキヨー「T3」は、コンパクトなBluetoothスピーカーです。スマートフォンなどのモバイルデバイスも充電できるUSBポートを備え、最大2台までのBluetooth機器とのマルチペアリングが可能です。
また、スマートフォンとの接続時にハンズフリーでの通話が可能なマイクを装備しており、内蔵バッテリーは最大8時間連続再生を可能にしています。
背面のパッシブウーファもよく効いており、外観・性能ともども完成度は高く、優れたオーディオ性能とコンパクトデザインを両立したBluetoothスピーカーです。
【主な仕様】
ドライバー構成は、8mm径フルレンジ×2、パッシブラジエーター×1。
周波数帯域は100Hz~20000Hz、最大出力は12W(2×6W)。
Bluetoothのバージョンは4.0。
本体サイズはW144×H70×D23(mm)。
重量は250g。
3.【ハイレゾ相当】SONYのBluetoothスピーカー
3-1.ハイレゾ相当のコーデック「LDAC」
「LDAC」は、「エルダック」と呼ばれるコーデックです。BluetoothオーディオのA2DPプロファイルで利用されていて、これまでのBluetoothオーディオと比べて非常に高音質での再生が可能になった圧縮方式です。
ただ、LDAC対応オーディオには、日本オーディオ協会が定めるハイレゾロゴは適用されません。LDACは非可逆圧縮だからです。が、非可逆圧縮ながらも、最大96kHz/24bitのオーディオデータが伝送でき、ハイレゾ相当の音質再生が可能です。
LDAC最大の特長は、96kHz/24bitのハイレゾクオリティ・データを伝送する際、ダウンコンバートが不要な点です。
LDACでは、基本となる解像度は96kHz/24bitで、ダイナミックレンジを大きく確保。同じハイレゾデータで聴き比べると、低伝送レートモード「330kbps」でも、SBC標準の328kbpsと比べてサウンドはクリアです。
※192kHz/24bitのような高解像度のハイレゾデータを再生する場合は、LDACでは96kHzに一度ダウンサンプリングします。
ちなみに、LDACのデータ伝送速度は3種類。330kbps、660kbps、990kbpsです。そして、最も早い990kbpsでは、理論上SBC標準の約3倍というデータ伝送量を活かした高音質での音楽再生が可能です。
3-2.ソニー「CAS-1」
型番の「CAS」は「Compact Audio System」の略で、文字通り机の上などで手軽に使えるコンパクト・オーディオ・システムです。
Bluetooth以外にもNFCにも対応し、USB端子は2系統装備。さらに、PCのオーディオデバイス(USB DAC)としての利用も可能です。
徹底的に現代的音楽再生スタイルにこだわっており、ワイヤレス音楽再生やPCとのUSB接続以外は排除。CDプレーヤーやFM/AMチューナーはなく、オーディオ機器ならほぼ搭載されているアナログ入力すらありません。
対応コーデックは標準のSBC以外に、ソニー独自の高音質コーデック「LDAC」と、iPhoneなどと親和性が高い「AAC」。PCとの接続時では、最大192kHz/24bit、DSD音源は2.8MHzまでリニアPCM変換で対応し、さらに圧縮音源やCD品質の音源をハイレゾ相当の音質にアップスケーリングする「DSEE HX」も搭載しています。
【主な仕様】
スピーカーは、2wayバスレフ型。
ドライバー構成は、直径62mmコーン型ウーファー、直径14mmソフトドームトゥイーター。
周波数帯域は60Hz~50,000Hz。
Bluetoothのバージョンは3.0。
サイズは、スピーカー部はW95×H178×D172、本体はW55×H178×D210。
重量は、スピーカー1.5kg/1本、本体が約1.3kg。
3-3.ソニー「SRS-X99」
1BOXの筐体上面にトゥイーター2つ、前面にトゥイーター2つと磁性流体スピーカー2つ、サブウーファー、低音増強振動板ユニット2つを配置した上で、デュアル・パッシブラジエーター方式を採用するソニーのBluetoothスピーカー「SRS-X99」。
スーパートゥイーターが前面と上面に搭載されることで左右に加えて上方向にも指向性を拡大。
中高域には、従来スピーカーの構成要素であるダンパーを用いない独自技術の磁性流体サスペンション構造のユニットを採用。
そして、低音域には低音増強振動板ユニット「パッシブラジエーター」を前面に2つ配置した「デュアル・パッシブラジエーター」を搭載し、さらに約45Hzまで再生する「94mmサブウーファー」を装備。
「SRS-X99」は、実用最大出力154Wの、高音質&ハイパワーを実現するマルチアンプ構造です。
もちろん、DSD音源や最高192kHz/24ビットのハイレゾ音源に対応し、ハイレゾ音源を忠実に再現するフルデジタルアンプ「S-Master HX」も搭載。また、「DSEE HX」により、音楽ファイルの高音域を補完しつつ、サンプリング周波数とビットレートを本来の数値よりさらに高め、CD(44.1kHz/16bit)以上の音質(192kHz/24bit-48kHz/24bit)に変換。高圧縮音源のMP3などもCD以上の高音質へとすることも可能で、よりクリアで躍動感ある音色が楽しめます。
【主な仕様】
ドライバー構成は、94mmサブウーファー、直径50mm×2(磁性流体サスペンション構造スピーカー)、直径19mm×4(ハイレゾ対応スーパートゥイーター)。
エンクロージャーは、パッシブラジエーター方式。
周波数帯域は、45Hz~40,000Hz。
Bluetoothのバージョンは3.0。
サイズは、W430×H133×D125mm。
重量は、4.7kg。
4.【重低音重視】BOSEのBluetoothスピーカー
4-1.ボーズ「SoundLink Revolve+」
「SoundLink Revolve+」は、コンパクトなのにパワフルなサウンドが特徴のボーズ最高峰ポータブルBluetoothスピーカーです。円筒形スピーカーで、指向性は360度。水平にマウントしたドライバーユニットの音を、デフレクターで拡散させています。このスピーカーの斬新な点は、エンクロージャー内に収められたドライバーユニットが、上ではなく下向きにマウントされている所です。そこにボーズのデュアル・オポージング・パッシブラジエーターを組み合わせることで、コンパクトながらも低音の効いたボーズらしい音に仕上げられています。
ただ、今までのボーズ製スピーカーは、ほかのメーカーよりも低域の再生能力を重視しているために、スイートスポットから外れた際にバランスが悪くなる傾向がありました。
スイートスポットとは、理想のリスニングポイントです。音は周波数の高い成分ほど直進性が高く、そのためスピーカーユニットにも指向性が存在します。そして、それから外れた位置では(従来のスピーカーでは正面から外れると)、高音域が届きづらくなり、直進性の低い低域しか聞こえなくなってしまいがちです。そして、特にボーズのスピーカーは他メーカーよりも低域の再生能力を重視しているため、この傾向が顕著になる課題がありました。
そこでボーズは円筒形スピーカーを逆さにしたような外観のスピーカーを開発。360度の指向性を実現させた「SoundLink Revolve+」が誕生します。つまりこの形状は、これは360度の指向性を得て「スイートスポット」を解消するためにあるのです。
ちなみに、「SoundLink Revolve+」と「SoundLink Revolve」の違いは、持ち運びに便利なハンドルの有無と、本体の大きさ、それにバッテリー持続時間です。SoundLink Revolve+のバッテリー持続時間は約16時間、SoundLink Revolveは約12時間です。
他の機能は「SoundLink Revolve+」と「SoundLink Revolve」では全て同じです。
【主な仕様】
SoundLink Revolve+は、W105xH184xD105(mm)、重量は0.91kg。バッテリー寿命最大16時間。
SoundLink Revolveは、W82xH152xD82(mm)、重量は0.67kg。バッテリー寿命最大12時間。
4-2.ボーズ「SoundWear Companion speaker」
肩にのせて使用する「ネックスピーカー」と言えば、ソニーの「SRS-WS1」が最も有名かもしれません。しかし、このSRS-WS1は、Bluetooth非対応で振動機能を備え、どちらかと言うと映画鑑賞やテレビ鑑賞向きの製品です。
一方、ボーズのSoundWear Companion speakerは違います。完全にBluetoothスピーカーで、音楽鑑賞のためにあるといっても過言ではありません。高音質を再現するため、細部にまでこだわっている様子がはっきりと見えます。
確かにソニーの「SRS-WS1」のような振動はありませんが、その分重厚な低音がボーズのSoundWear Companion speakerでは楽しめます。
【主な仕様】
W240xH50xD190(mm)、重量は260g。バッテリー持続時間は、1回の充電で約12時間の利用可能。
5.【ハイブランド】JBLのBluetoothスピーカー
5-1.JBL「FLIP3」
FLIP3は、IPX5の防水性能を備えたBluetoothスピーカーです。アウトドアシーンはもちろん、キッチンなどの水回りでも安心して使うことができます。また、デザインもスタイリッシュで、カラーバリエーションも豊富。ファッショナブルなオーディオ機器として人気を集めています。
そんなFLIP3の特徴は、2台用意することで「左チャンル・右チャンル」としてステレオ再生できる点です。1台でも迫力あるサウンドですが、2台同時のワイヤレス接続はオーディオファンならずともその迫力の虜になります。
【主な仕様】
サイズは、W169xH64×D64mm。重量は、450g
周波数特性は、85Hz~20kHz。
最大出力は8Wx2。
Bluetoothのバージョンは4.1。
5-2.JBL「PULSE 3」
JBLの「PULSE 3」は、イルミネーションが光る防水Bluetoothスピーカーです。防水規格IPX7に対応しています。
最大の特徴はマルチカラーLEDを搭載している点で、プリセットされている全7種類のイルミネーションテーマにより、空間を音楽とともに彩ることができます。
また、「PULSE 3」はワイヤレス機能である「JBLコネクトプラス」を搭載。同機能を搭載したスピーカーなら、同時に100台以上の接続が可能となり、広いエリアでの音響が必要なシーンでも活躍が期待できるスピーカーです。
【主な仕様】
サイズは、W92xH223xD92mm。重量は、960g。
周波数特性 は、65Hz~20kHz。
最大出力は、総合20W。
Bluetoothのバージョンは4.2。
6.まとめ
Bluetoothスピーカーは設置の場所をあまり選ばないため、利用シーンが非常に多様です。そのため、使う環境によっては、防水性があるスピーカーを選ぶべきですし、卓上用のスピーカーを選ぶべき時もあるでしょう。また、今のBluetoothスピーカーは、Bluetooth黎明期とは異なり、音質も格段に上がっています。
どんな場所で、どう使いたいか。
Bluetoothスピーカーを購入する前は、必ずそれを明確にして選びましょう。
きっと手放せなくなる相棒になると思いますよ!